兄妹喧嘩 ページ2
「禰豆子の血鬼術が、毒を燃やして飛ばしたんだと思います。」
炭治郎はそう口にして、ご無事でよかったですと宇髄に微笑んだ。
「いやいやお前も動くなよ。死ぬぞ。」
「俺は鬼の頸を探します。確認するまでは安心できない。」
私も、とAが言うので、休むよう勧める炭治郎。
しかし、出血はあるが炭治郎よりは軽症だ。と言うAの言葉に何も言い返せず、三人は鬼の頸を探した。
炭治郎は鬼の血がある場所で、加工されたナイフで血を採取する。
珠代さんは、鬼の血が濃いほど研究が進むはずだと言っていた。
上弦の血が取れた。これで、禰豆子が人間に戻る可能性が少しでも高まるのならいいのだが。
「炭治郎、鬼の声がする。」
あっち、とAが指さすと、炭治郎も鬼の匂いを嗅ぎとったらしく本当だ、と呟いた。
二人は言い争いをしていた。
「なんで助けてくれなかったの!」
「俺は柱を相手にしてたんだぞ!」
「何でトドメを刺しとかなかったのよ!頭カチ割っとけばよかったのに!」
「行こうとしてた!!耳飾りをつけたガキがいたから先に始末しようと思ったんだ!そもそもお前は何もしてなかったんだから柱にトドメくらい刺しておけよ!」
「じゃあそういう風に操作すればよかったじゃないアタシを!それなのに何もしなかった!」
二人の体が崩れていく。
「うるせぇんだよ仮にも上弦だってんならなぁ、手負いの下っ端二匹くらい一人で倒せ馬鹿!」
少しの静寂の後。
「…あんたみたいに醜い奴がアタシの兄妹なわけないわ!!」
涙を浮かべながら、堕姫はそう言った。言葉を口にしてから、僅かに後悔の音がしていた。
「アンタなんかとはきっと血もつながってないわよ!だって全然似てないもの!この役立たず!!強いことしか良い所が無いのに、負けたらもう何の価値もないわ!出来損ないの醜い奴よ!」
「ふざけんじゃねぇぞ、お前一人だったらとっくに死んでる!!どれだけ俺に助けられた!!出来損ないはお前だろうが。弱くて何の取り柄もない。お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ。」
妓夫太郎からは、色々な音がした。怒り。悲しみ。悔しさ。そんな感情がぐちゃぐちゃになって、奔流のように妓夫太郎の口から、本心ではない言葉を紡がせる。
「お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた。お前なんか、生まれてこなきゃよかった」
その声は、大きな怒りの音をさせながら、僅かに後悔の音を鳴らしていた。
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kanna | 作成日時:2019年10月22日 12時