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訓練開始 ページ17

鉄がぶつかり合う音が、辺りに響いていた。

宇髄は片手の刀でAの攻撃を次々と弾いていく。

Aの額には汗が滲んでいた。

恐らく、毒が盛られている。妓夫太郎の血鎌を受けた時と似たような感じがした。

手足は痺れて、いつもより速さが落ちていた。

毒のせいか刀がやけに重く感じる。

(呼吸で毒の進行を遅らせる。それから、相手の隙を正確に狙う。)

右脚に意識を集中させて、距離を詰める。刀を振る。

宇髄さんはもちろんその攻撃を刀で受け止める。

次に真上に跳んで後ろから狙う。

それも、後ろに回した宇髄さんの刀に阻まれる。

そんな一進一退の攻防が続いていた時。

がく、と膝の力が突然抜けた。

まずい、と思うと同時宇髄さんの刃が迫る。


その瞬間、自分の体が突然横に動いた。

刀が迫ってくる。

足が動かないので、右手を地面に着いてぐるりと体を捻る。

そのまま勢いを殺さず、右脚を後ろの木に着けてまっすぐ宇髄さんに向けて跳躍する。

刀は平行。頸を狙って、刃を通す。

「A、止まれ。」

宇髄さんの声が聞こえる。

宇髄さんは刀を構えていなかった。

それを見て思い切り体を捻り、頸を斬ろうとしていた刀の軌道を無理矢理逸らす。

その動きに集中していた私の体は受け身も取らないまま地面に叩きつけられた。

「ゲホッ…今のやつを意識的にできるように…ケホッ、なりたくて…」

「あー分かった分かった。とりあえずこれ飲め。」

差し出された水を飲み込むと、すぐに体の痛みと痺れは引いていった。


「今ので懲りないのかお前…マジか…」

正直、稽古をつける気は毛頭なかった。

コイツの面倒を見ているのはあくまで冨岡の頼みだからであって、稽古は冨岡につけてもらうべきだと俺は思ってる。

元継子だし、呼吸だってこいつが使う氷の呼吸は水の呼吸の派生だ。


それでも、俺の稽古を受けに来たAの判断は正しいと言わざるを得なかった。

こいつが望んでいる訓練は、幼いころ俺が親父に受けさせられた過酷な訓練だ。

多分、それを繰り返すことでこいつの反射速度は上がる。

弟が、そうだったように。


「なぁ、お前なんで俺の訓練受けに来たんだよ。」

気が付けば、そんなことを聞いていた。

Aは迷うことなく、話し出す。

「生きていたいから、もっと強くならなきゃって思ったんです。」

百点満点の回答だ、褒めてやる。


「相当きついけど、耐えれるか?」

俺の言葉に、Aは頑張ります、と笑った。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月22日 12時

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