伊之助の走馬灯 ページ8
その頃、伊之助は巨大な鬼との戦闘で負傷した体を木の陰で癒していた。
(考えねぇと…太刀の通らない奴を斬る方法。)
どうする…どうする…と頭を悩ませていると、左側から空気が揺れる気配がした。
間一髪、鬼の拳を伊之助は回避する。
炭治郎の「死ぬな」という言葉が頭をよぎる。
あいつが戻るまで、なんとか、と逃げる方向に考えている自分に気付き、思わず足が止まる。
(なんだその考え方！！ふざけんじゃねぇぞ！！)
うおおおおお、と鬼に向かって全力疾走する。
片方の刀で鬼の腕を落とす。
途中で刃が止まってしまうが、もう片方の刀をトンカチのように打ち付けて鬼の腕を切り落した。
木の上に退避する鬼を伊之助は追いかける。
鬼は、鬼の上で震えると、バリッという音をさせて脱皮した。
再び地面に降り立った鬼は先ほどよりも一回り大きくなっていた。
死ぬ、と思った。
思い出したのは、一緒にいるとほわほわする少年と老婆の言葉だった。
俺が戻るまで死ぬな！
どんな時でも、誇り高く生きてくださいませ。
負けねぇ。絶対負けねぇ。
ぎゅっと刀を握る手に力を込める。
「俺は鬼殺隊の嘴平伊之助だ！！かかってきやがれゴミクソが！！」
ゴッ、と鈍い音がして自分の体が吹き飛ばされたのが分かった。
大きさだけでなく、鬼は速さも先ほどとは段違いだった。
鬼の攻撃を避ける。鬼の頸が見えた。
「獣の呼吸 参ノ牙 喰い裂き」
両腕を交差させて鬼の頸を斬る。
しかし、バキン、という音とともに刀は折れて、
伊之助の頭は鬼に握りつぶされようとしていた。
ミシ、と頭に何かの音が響く。
血が溢れる。
見えたのは、女の人の顔。
「ごめんね」 「ごめんね伊之助」
他にも炭治郎や善逸、藤の家の老婆が思い浮かんだが、最初の女の人だけが、分からなかった。
ドン、という衝撃があった。
地面に自分が転がっている。
地面から見えたのは、赤と黄色の羽織だった。
鬼の右腕は斬られていた。
鬼が男に襲い掛かる。
「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
その瞬間、水が渦巻きながら鬼の体に纏いつくのが見えた。
地面に、細切れになった鬼が山積みになっている。
男の強さに、伊之助は強く惹かれた。
「俺と戦え半半羽織！！」
伊之助が男に向かって叫ぶと、「修行し直せ戯け者！」と、男は言う。
気が付くと伊之助は木に吊り下げられていて、
男は「己の怪我の程度も分からない奴は戦いに加わるな」と言ってその場を去っていった。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
