対峙 ページ37
「その簡単なことが出来ねぇで鬼狩りたちは死んでいったからなぁ」
妓夫太郎は余裕のある笑みを浮かべて話し出す。
「柱も俺が十五で妹が七喰ってるからなぁ」
「そうよ。夜が明けるまで生きてたやつはいないわ。長い夜はいつもあたしたちを味方するから。
どいつもこいつも死になさいよ!!」
堕姫の帯がぎゅる、と音を立てながら襲い来る。
落雷の音がした。
雷のような音を立てながら帯を切断し、屋根の上に登った堕姫を追いかけたのは善逸だった。
「ミミズ女は俺とねぼすけ丸に任せろ!お前らはそのカマキリを倒せ!わかったな!」
その言葉を最後に伊之助も堕姫の後を追いかけていく。
その様子を見ていた妓夫太郎は「妹はやらせねぇよ」とぽつりと呟いた。
屋根の上には、堕姫と善逸の姿があった。
「俺は君に言いたいことがある」と、善逸が口を開く。
「耳を引っ張って怪我をさせた子に謝れ。」
善逸が思い浮かべていたのは、潜入捜査の時、堕姫に耳を掴まれて泣いていた女の子だった。
「たとえ君が稼いだお金で衣食住与えていたとしても、あの子たちは君の所有物じゃない。何をしても許されるわけじゃない。」
善逸の話をぽかんとした表情で聞いていた堕姫だったが、その内容を聞くと、馬鹿にしたような笑みを浮かべて話し出した。
「つまらない説教を垂れるんじゃないわよ。お前みたいな不細工がアタシと対等に口を利けると思ってるの?この町じゃ女は商品なのよ。物と同じ。売ったり買ったり壊されたり、持ち主が好きにしていいのよ。不細工は飯を食う資格無いわ。何もできない奴は人間扱いしない。」
「自分がされて嫌だったことは人にしちゃいけない。」
「…違うなぁそれは」
堕姫の音が妓夫太郎の音に変わる。
「人にされて苦しかったこと、嫌だったことを人にやってやり返して取り立てる。自分が不幸だった分は幸せな奴から取り立てねぇと取り返せねぇ。それが俺たちの生き方だからなぁ。
言いがかりをつけてくる奴は皆、殺してきたんだよなぁ。
お前らも同じように喉笛描き切ってやるからなぁ。」
善逸の目の前には額にもう一つ目玉が浮かんだ堕姫の姿があった。
「全部見えるわ、あんたたちの動き。兄さんが起きたからね。これがアタシの本当の力よ!」
「うるせぇ!キンキン声で話すんじゃねぇ!」と追いついた伊之助が叫ぶ。
善逸と伊之助は堕姫と。
宇髄と炭治郎とAは妓夫太郎と対峙する。
上弦の鬼との戦いが、再び始まろうとしていた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時