鬼の本能 ページ30
「堕姫」と私の名前を呼ぶのは、私が最も敬愛する鬼舞辻無惨様だ。
「私の支配から逃れた鬼がいる。見つけて始末してくれ。お前にしか頼めない。
麻の葉文様の着物に、市松柄の帯の娘だ。」
無惨様の仰っていた特徴と、その娘の姿は一致していた。
「ええもちろん、嬲り殺して差し上げます。お望みのままに…!」
禰豆子は堕姫の元へと跳んだ。
先程堕姫の顔を吹き飛ばした蹴りを、もう一度放つ。
しかし、それよりも早く、禰豆子の足は堕姫の帯によって切り裂かれた。
人間には限界がある。
では、鬼ならばどうか。
鬼舞辻の血に近い上弦の鬼を前に、禰豆子は家族が殺された日のことを思い出していた。
その激しい怒りが、禰豆子の体を突き動かす。
足だけではなく、胴も切り裂かれる。腕で防御しようとするが、堕姫の帯の前には無力。
禰豆子の体は引き裂かれ、地に落ちていた。
その後を追って、堕姫が地上に降りる。
「弱いわね。対して人を食っていない。なんであの方の支配から外れたのかしら?」
ずり、と禰豆子が這い出てくる。
「かわいそうに。胴体が泣き別れになってるでしょ。動かない方がいいわよ。あんたみたいな半端物じゃすぐに再生できないだろうし。
同じ鬼だもの、もういじめたりしないわ。帯に取り込んで、朝になったら日に当てて殺してあげる。」
そう言って視線を落とす堕姫は、信じられないものを見た。
禰豆子の体は繋がり、立ち上がっていた。
切断されていた左手も、即座に再生する。
その速度は、上弦に匹敵していた。
ミシ、と言う音がして口にくわえていた竹が割れる。
禰豆子の体には全身に痣が浮き出て、角が生えていた。
先程とは別人のような圧迫感に堕姫は一瞬気圧される。
また、蹴りが来る。
禰豆子の足が帯で切断された。
間髪入れずに次の帯が禰豆子の頸を襲う。
しかし、帯の速さよりも先に禰豆子の足は再生し、堕姫を地面へ蹴り落としていた。
禰豆子の足は、堕姫の背中を貫通している。
禰豆子の顔に、笑みが浮かんだ。
堕姫の帯が禰豆子の体をバラバラに切り裂いて、禰豆子がすぐに再生する。
この攻防が何度続いただろう。
堕姫の体は禰豆子の返り血でいっぱいだった。
血鬼術を使い、堕姫の体を燃やす。
それだけでは足りない。物足りない。
禰豆子は堕姫の体を何度も何度も踏みつける。
ふと、人間が血を流しているのが見えた。
おなかがすいた。
禰豆子は、気が付くと人間を食おうと襲い掛かっていた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時