蚯蚓帯 ページ26
一方、炭治郎と別れた伊之助は萩本屋の床下にある鬼の巣に侵入していた。
モグラの巣穴のような狭い通路を、ぐんぐん進む。
突然、明るい場所に出た。
地下の一部の空間が広くなっていて、長い帯が岩から岩へと無数に伸びている。
(人間柄の布？いや、この感触は生きてる人間だ。捕まえた人間を閉じ込めて、好きな時に出して食うのか。)
人間が無数に描かれた帯を見て、伊之助は分析する。
その中に、見覚えのある黄色い髪の少年が見えた。
「何してんだコイツ…」
その言葉に呼応するように、「お前が何をしてるんだよ」と禍々しい声が聞こえた。
声の方向に振り向くと、しゅるしゅると動きながら帯が声を発していた。
「他人様の食糧庫に入りやがって。汚いね。汚い。臭い。糞虫が。」
帯はぐねぐねと曲がりながら、怒りに溢れた声色で言葉を話している。
「グネグネ気持ちわりぃんだよ蚯蚓帯！！」と伊之助が二振りの剣で帯を切り裂いていく。
「動きが鈍いぜ、欲張って人間を取り込みすぎてんだ！でっぷり肥えた蚯蚓の攻撃なんぞ伊之助様には当たりゃしねぇ。出直してきな！！」
伊之助が帯を斬るたびに、帯の中からずるりと這い出るように蓄えられていた人間が地面に落ちる。
(上手いこと人間を避けて斬りやがる。せっかく鮮度の高い食料を保存しておいたのに！
そしてこいつの勘の鋭さ。殺気を感じる力は尋常じゃない。前後左右の攻撃を敏感に察知して躱す。食料貯蔵庫にまで鬼狩りが来るのは想定外だった。)
どうする、と思考を巡らせていると女の声が響いた。
蕨姫だ。蕨姫の声は、開口一番に「生かして捕らえろ」と命じた。
(そいつは”まきを”を捉えた時に邪魔をしたやつだ、美しかった。保存していた人間も、極めて美しい十人以外は殺して構わない。ただ殺すより生け捕りは難しいかもしれないが、そこにいる何人か喰ってお前の体を強化しろ。)
蚯蚓帯が意識を戻すと、眼前に伊之助の刀が迫っていた。
帯はぐねん、と体を曲げて刀の攻撃を和らげ、そのまま伊之助の刀を一周するように回転した。
伊之助の首をめがけて蚯蚓帯が迫る。
しかし、帯の動きを読んだ伊之助が両手の刀を手放したことにより、刀を一周するように翻っていた帯はねじれて軌道が逸れてしまう。
伊之助は空中の刀を足場に体勢を整え、技を放った。
その瞬間。「せっかく助けたやつが疎かになってるけどいいの？」と言う声が聞こえて、
背後の女性たちのもとに数本の帯が迫るのが見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
