心を燃やせ ページ25
突如、夜の花町にドォンと爆発するような音が響く。
その音は上弦の陸の耳にも届いていた。
「喧しいわね塵虫が。何の音よ、何してるの？」
鬼は、冷たい目つきをしながら炭治郎へと疑問を投げかける。
「どこ？荻本屋の方ね。それに雛鶴…あんた達何人で来たの？四人？」
「言わない」
「正直に言ったら命だけは助けてやってもいいのよ。先刻ほんの少し斬り合っただけで、あんたの刀もう刃毀れしてる。それを打ったのは碌な刀鍛冶じゃないでしょう。」
「違う！この刀を打った人はすごい人だ！腕のいい刀鍛冶なんだ！！」
「じゃあなんで刃毀れするんだよ間抜け。」
鬼は、鋭い口調で吐き捨てるように言い、険しい目つきでこちらを見つめている。
「あっちでもこっちでもガタガタし始めた。癪に障るから次でお前を殺す。」
刃毀れした刀を見る。
刃毀れするのは使い手が悪いからだ。
やはり俺は、水の呼吸を、使いこなせない。水の呼吸に適した体じゃないんだ。
俺の場合、一撃の威力はどうしてもヒノカミ神楽の方が強い。体に合っているんだ。
でも。その強力さ故に連発が出来なかった。
でも今は違う。おれはやれるはずだ。いや、やる！！
鬼の帯が迫る。
思い出したのは煉獄さんの言葉。
燃やせ。
燃やせ。
心を燃やせ！！
「ヒノカミ神楽、烈日紅鏡」
炭治郎の刃は炎を纏い、迫り来る三つの帯を斬っていた。
すかさず鬼の元へ跳躍し、縦方向の斬撃を放つ。
「炎舞」
鬼は体を後ろへと移動させて軽々と炭治郎の攻撃を避ける。
炎舞は二連撃だ。残りの一連を放つべく、刃を振りかぶる。
大した事ないわね、と鬼は言った。
横から迫った帯が炭治郎の首を両断する。
両断したと、思った。
突然炭治郎の姿がふっと消える。
ヒノカミ神楽 幻日虹。
高速のひねりと回転による躱し特化の舞。
視覚に優れたものほどくっきりと残像を捉えてしまう。
後ろから、鬼の頸を狙う。
隙の糸が見えた。
「ヒノカミ神楽 火車」
「遅いわね。欠伸が出るわ。」
鬼の言葉と共に、隙の糸がぶつん、と切れた。
帯が迫り、無防備な炭治郎の体は地面に叩きつけられる。
地面に付した瞬間、心臓の音が聞こえた。
呼吸が乱れる。ヒノカミ神楽を連発した反動だ。
回復の呼吸を使い、鬼の帯を間一髪で躱す。
ギィン、と刀と帯がぶつかって火花を散らす。
再び鬼の懐に入ろうとする炭治郎。
「不細工は頑張っても不細工なのよ」という、鬼の冷笑が聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
