生きていく理由 ページ17
どうやら、冨岡さんは3日間、任務外の時間はほとんど私につきっきりだったらしい。
Aを見ている冨岡さんからは、いつも不安と後悔の匂いがしたと、炭治郎が言っていた。
目覚めた日の夜、冨岡さんから水柱の屋敷に呼び出された。
「なぜ死のうとした」
冨岡さんは私が来るなり、そう言って屋敷の扉をぴしゃりと閉めた。
答えるまで返さないという、冨岡さんなりの意思表示だろう。
…どう話せばいいか、分からなかった。
妹と弟がいなくなって、おじいちゃんもいなくなって。
「生きていく理由が、無くなったから、ですかね」
と言うと、冨岡さんは怒った音になる。
それから悲しい音も混ざって、冨岡さんにしては珍しい、ぐちゃぐちゃした音になった。
「…俺や炭治郎たちは、生きる理由にはならないのか」
「死ぬ直前に、冨岡さんの顔が浮かびました。」
冨岡さんの顔が見れなくて、俯きながら話す。
「そしたらなんか、死にたくなくなっちゃって。妹と弟を殺して生き残っているのに、図々しいですよね。」
「…A」
冨岡さんはこっちを見ろ、と言ってくる。
目線を上げるといつも通りの端正で無表情な顔があった。
「俺はお前に死んでほしくない。
だから、今から言うことは俺からの我が儘だ。
お前に死なれたら、俺が困る。
お前が死ぬと思うと、本当に怖かった。
死ぬまで戦うなんてことはもうするな。
お前を大切に思っている奴はたくさんいる。｣
冨岡さんがこんなに話すのは久々だ。
よっぽど、私が死ぬのが嫌だったんだな。
そう思うと、不謹慎だけれど少しだけ嬉しくなった。
きっと、私の中の妹と弟への罪悪感は相変わらず無くなることはないだろう。
それでも冨岡さんが前へ進めというのなら。私は前に進みたい。
「わかりました。自分の命を優先して任務にあたります。ご迷惑をおかけしてすみません。」
ふと、冨岡さんの心拍が大きくなる。
表情がいつもと変わらないけれど、何かを言おうとしていた。
「…もしも、俺の存在がお前の拠り所になっているのなら、いいんだが」
冨岡さんはいつもよりも少しだけ心拍を早めてそんなことを言った。
もう十分です。これ以上求めさせないでください。と内心思いながら笑顔を作る。
きちんと笑えているだろうか。
「私は、冨岡さんの継子になれて幸せですよ。」
そう言うと、また冨岡さんは何か言おうとしたけれど、
結局は何も話さないで、「そうか」とだけ呟いた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
