隊律違反 ページ13
「そんなだから、皆に嫌われるんですよ。」
微笑む彼女は、さぁ冨岡さん、どいてくださいね。と優しく声をかける。
冨岡は、俯いた顔を上げ、口を開いた。
「俺は嫌われてない。」
炭治郎としのぶに、電流走る。
違う、そうじゃない、と炭治郎が思った時だった。
「あぁそれ…すみません、嫌われている自覚が無かったんですね。余計なことを言ってしまって申し訳ないです。」
冨岡に衝撃が走る。
ハラハラ、とその様子を見つめていた炭治郎の耳に「坊や、」という優しい声が届いた。
「坊やが庇っているのは鬼ですよ。危ないから離れてください」と女性―――胡蝶しのぶは声をかける。
「ちっ、違います!!いや違わないけど…あの、妹なんです!俺の妹で、それで!」
炭治郎は何とか説明しようとするが、胡蝶は「まぁ可哀そうに」と言った後、
「では、苦しまないよう優しい毒で殺してあげましょうね」と、先程と同じ微笑みを浮かべながら刃を構えた。
血の気の引く炭治郎の耳に、静かな声が届く。
「動けるか」
冨岡はこちらを見ないまま淡々と話し続ける。
「動けなくても根性で動け。妹を連れて逃げろ」
少年が走り去る足音が辺りに響いた。
「これ、隊律違反なのでは?」
胡蝶は微笑んだまま、冨岡は無言のまま互いを見つめている。
「あなたがその気だろうと、私は時間稼ぎに付き合うつもりはありませんので。ごきげんよう」
そう言うと、ふわりと冨岡の遥か上まで一瞬で移動した。
木から木へと、軽々と移動する胡蝶を冨岡は追いかける。
空中に胡蝶が跳んだ瞬間。
後を追って一直線に跳躍する冨岡が見えた。
「冨岡さん、鬼を斬りに行くための私の攻撃は正当ですから、違反にはならないと思いますけど」
そう話す胡蝶の首元は、左腕で囲まれるような形で冨岡に拘束されている。
咄嗟に右手で首を庇うが、左手の刀も防がれたこの状態では体格で劣る冨岡に対してできる事はなかった。
どういうつもりなんですか、と冨岡に問うが、相変わらず無言。
「何かおっしゃったらどうなんですか?」
「…あれは確か、二年前の事」
と、語り始めた。
そんな所から長々と話し始められても困る。嫌がらせだろうか。
「嫌われてると言ったこと、根に持ってます?」
少なくとも、Aには嫌われていないと思う。
そう言おうとした時。
「伝令!!水守A、下弦ノ肆トノ戦闘ニヨリ重症!急ギ救助ニ向カエ!」
烏が告げたのは、冨岡の継子の重症の知らせだった。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時