そんなだから皆に嫌われるんですよ ページ12
鬼からは、抱えきれないほど大きな悲しみの匂いがした。
手を置いていた小さな背中が、灰になって消えていく。
その様子を最後まで見届けると、少年の羽織を踏みつける足が見えた。
「人を食った鬼に、情けをかけるな。子どもの姿をしていても関係ない。何十年、何百年生きている醜い化け物だ。」
そう言ったのは、2年前、炭治郎と禰豆子のことを助けてくれた青年だった。
それでも、炭治郎は青年のその行為を見過ごすことができなかった。
「殺された人の無念を晴らすため、これ以上被害者を出さないため、もちろん俺は容赦なく鬼の頸に刃を振るいます。だけど鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いているものを踏みつけにはしない。
鬼は人間だったんだから。俺と同じ、人間だったんだから。」
足をどけてください、ときっぱりと青年に言い放つ。
「醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい生き物だ。悲しい生き物だ。」
そう言った少年の姿と、自分の優しすぎる継子の姿が重なり、何も言えなくなる。
俯くと、少年の下に少女がいるのが見えた。
竹をくわえた少女と市松模様の羽織の少年。この二人には、見覚えがあった。
雪の日、生き残って師の元へ送り出した兄妹を、はっきりと思い出す。
「お前は…」
口を開こうとしたとき、襲い掛かる人影が見えた。
蝶のような羽織を着て、華麗に空中を舞う女性は、攻撃を防いだ義勇に目を丸くした。
「あら?どうして邪魔するんです冨岡さん」
義勇は、何も話さない。
「鬼とは仲良くできないって言ってたくせに何なんでしょうか。そんなだから、皆に嫌われるんですよ。」
蝶のような女性は、細い刀身の刀を構えながら優雅に微笑んだ。
81人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時