宇随さんとお食事 ページ3
「A、飯食いに行くぞ!!」
水柱の屋敷に入った宇随さんは相変わらず派手だった。
「……Aは、この後訓練がある」
無表情で宇随さんに返答する冨岡さんに、宇随さんはまぁそう言うなって、と冨岡さんの近くに行って、
何か、耳打ちをした。
宇髄さんの言葉に冨岡さんは一瞬はっとした表情になると、
「……今日の訓練は、明日に回す。」
と、無表情に戻って食事を許してくれた。
何を言ったのか物凄く気になって宇随さんに尋ねるが、頑なに話そうとはしてくれなかった。
道中、お前、好きな食べ物ねぇの?と尋ねられる。
尋ねられて、自分は食に無頓着だということに気付いた。
私は基本的に、誰かに出されたものを食べる。
それは美味しいと感じるし、味覚がないわけでもない。この前の団子は物凄くおいしかった。
ただ、自分一人になると、必要最低限のものが食べられれば十分という性質で、気を抜くと丸一日ご飯を食べない、という日もある。
その事を話すと、少しだけ、宇随さんから怒った音が聞こえた。
「お前、そんな地味な生き方するんじゃねぇよ」
どん、と頭に拳が飛んでくる。だいぶ手加減してくれたのだろう、全然痛くなかった。
宇随さんはついて来いと言って音柱への屋敷へと向かった。
「須磨、まきお、雛鶴いるかー?」
宇随さんが声を上げると、女の人が三人、宇随さんの前に現れた。
「俺の嫁だ。右から須磨、まきお、雛鶴。こいつは冨岡の継子で名前はAだ」
「今日の昼飯こいつの分も作ってくれ」
宇髄さんは、軽く自己紹介を済ませると三人に私のご飯を作るよう言った。
出てきたのは煮物や鯖の味噌煮、ご飯、味噌汁といったようないわゆる家庭料理だった。
いただきます、と宇随さんやお嫁さんたちと一緒に手を合わせる。
ぱくぱくと箸を進める私の表情を見て満足そうな宇随さんは、俺の嫁が作った飯だからそりゃうまいさ、と嬉しそうに言った。
ご馳走様でした、と宇随さんとお嫁さん達に頭を下げる。
「また食いに来いよ」と言う宇随さん。
「これ、よかったら、おうちに帰ってから食べて。」
お嫁さんが差し出した重箱にはおにぎりが入っていた。
先ほど須磨と呼ばれていたお嫁さんは、迷惑だったかしら!?と半泣きになっている。
そんな事ないです、と返してから、重箱を見つめる。
「大事に頂きますね。ありがとうございます」
自然と笑みがこぼれた私を見て、宇随さんは「いっぱい食えよ」と嬉しそうな音をさせていた。
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月9日 12時