【wrwrd】追求者も我々だ

追求71個目 ページ22

　
ｶｼｬ



｢……は､?｣



後ろから驚きの声が聞こえる｡
私は確実にコネシマさんの額を狙った｡黒い柄を握り､押し付けた｡

本来なら飛び出る筈の赤い鮮血は一滴も､見当たらない｡
目の前に居るコネシマさんは勿論､後ろの二人組も呆然としている様子｡


｢は､疲れた｡先程はすみません､コネシマさん｡｣


そう言って私は彼から身を引いて､額へ押し付けてた短剣を一度持ち直した｡
次の瞬間､持ち直した短剣を自分のもう片方の掌に勢い良く突き刺す｡

目を見開く私を除く人達｡
しかし､私は微動だにせず何度も何度も突き刺して戻してを繰り替えす｡

トントンさんの後ろで総統が､目を細めている｡
仕方ない､そろそろネタ明かしとでもいこうか｡


｢ご覧の通りコレに殺傷能力は無いです｡｣
｢其れは一体､｣

｢子供の遊び道具の様なモノですよ｡
何度も実演していますが､コレ押すと柄の中に入るんです｡｣


軽くて脅しには最適なんですよね､何て言って短剣をジャグリングの様にして遊ぶ｡
服の中に忍ばせて置いた同じ物を次々と追加して遊ぶ｡




するとトントンさんが､少し睨みながら此方に歩み寄ってきた｡

幾ら何でもこんなに騒ぎを起こせばそんな表情にもなるか､
と一人納得してジャグリングを止める｡


｢状況が把握できへん､取り敢えず其処に座れ｡｣


威圧が強い､此れは素直に従うほかないなぁ｡
取り敢えず言われた通りにその場に座った｡おずおずと隣に同じようにコネシマさんが座る｡


｢まず初めに､今回の騒動の理由はに心当たりは｣
｢一番の切っ掛けは私がコネシマさんの笑いに苛立って､蹴り飛ばした事だと思われます｡｣

｢はぁ｡……コネシマ､間違ってへんコレ?｣
｢合ってるけど､何で俺の笑いに苛立って蹴り飛ばすん?足癖悪すぎへん?｣
｢コネシマ､個人的な意見は後回しだ｡｣


コネシマさんが小さく舌打ちをかます｡

うん､明らかに私とコネシマさんの間で亀裂が入ってる｡
まぁ入れたのは私なんだけどさ｡



｢今回のは私の勘違いから始まった問題です｡｣
｢まぁ､聞いた感じせやな｡｣
｢何で俺まで一緒に説教されなきゃアカンねん!俺は寧ろ被害者､｣




ひやり､背筋に寒気が走った｡
目の前の人物から冷ややかな視線と殺気が送られてきている｡




｢なぁ､お前等ちゃんと理解してん?｣




此れで､冒頭に戻る｡

　
　
　

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