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サイン ページ22

「……え、と、…夕…飯……借りる…? 仕事の、話、……テイ? テイって…?」
「カラダと書いてテイだね。」
「……? あ、あとっ、たべさせるとか…っと、とま…!?」
「おう。」
「ばっかじゃねーの?!」

大混乱は収まらない模様で、さっきも聞いたような、予想していた通りの罵倒をくらう。

「アンタほんとなに言ってんの?!」
「あー、うん。そーいうのいーから。」
「よくねえ!」

にゃあにゃあと口やかましいそいつをさっさと連れて行こうと、手を引こうとしたら全力で身を引かれた。警戒心MAXの猫かよ。あーあー、涙目で睨んで威嚇しちゃって。羞恥に染まる顔も赤い。どうすっかなぁ、俺としては夜が更けない内に飯を済ませたいのだが。問答無用で言う事を聞かせる事もできるが、何もそこまでしたい訳では…俺が途方に暮れてしまいそうだ、なんて。
そんな事を考えていると震える端末。確認するとこちらの担当マネからの連絡であった。到着の知らせだ。ちょうど良い時に来てくれた。

「藤ヶ谷。」
「……なに。」
「俺の担当、着いたって。」
「…そう。」
「行くぞ。」

返答は無い。しかし、心の底から本当に嫌なら拒絶の兆候が現れるはずだが、さっきから聞く限りこいつの口から出て来る言葉は「なんであんなこと言っちゃうの二人の秘密なのにぷんすこ!」系統であり、俺のお誘いを拒む内容は含まれない。つまりはOKサインである。何と分かりにくい。つーかメンバー知ってんじゃん。いや、アイツらの前でそんな空気は持ち出さないけど。お前めちゃくちゃよこーさんに恋バナしてんのこっちに筒抜けなんだからな。恋人の親友経由で相談内容のアレコレを聞かされる俺にしてみれば、直接こっちに言いに来い! 即解決してやっから! の連続ですけど。
そんなややこしくて分かりにくいこいつの意向を解した俺が、残り一階だからと非常階段を使う事を提案すると、頷いて大人しく付いて来る。


静まり返った空間にカン、カン、と二人分の音を響かせながら階段を降りる。


「魚の美味い店、見つけたんだ。

……なぁ、嫌だった?」
「っ、そんなわけない。」
「そっか。」
「わかってるくせに。」
「うん。」
「…ばか。」
「ふはっ、知ってる。」


後ろは振り向かない。振り返れば、小さな顔を真っ赤に染め上げたお前がいるんだろう。可愛いのなんて分かり切ってるけど。でもお前はそれを見られたくないんだって知ってるから。



駐車場で担当と落ち合う。
……驚いた顔をしていた。

二人歩いて→←電話口から伝わる



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久呂之(元:緋絽)(プロフ) - 和來さん» ありがとうございます(*´˘`*) 改稿の可能性もありますがちゃんと完結させたいと思っております。応援の言葉、励みになります(´⊃ω⊂`) (2019年9月29日 2時) (レス) id: 20569f8db5 (このIDを非表示/違反報告)
和來(プロフ) - このお話大好きです!更新される度にウハウハ言って読んでます!更新頑張ってください! (2018年4月22日 21時) (レス) id: 8f5aa5cad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久呂之 | 作成日時:2018年2月12日 14時

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