検索窓
今日:9 hit、昨日:56 hit、合計:533,483 hit

拾陸 ページ18

*







『終わっ、たァ』


はァ、と一つだけ溜息に似たものをゆっくりと零し、肩をぐるりと回す。



長かった。非常に。


作成した書類は先刻、国木田さんが凄い勢いでかっ攫ッていった。


何とか間に合わせる事が出来て良かった。



「あ、Aちゃん。若しかして仕事終わった?」


『はい。つい先刻』


書類制作から解放されて少し寛いでいた処を春野さんに声を掛けられる。


仕事は粗方(あらかた)終わっており、後は報告書が残っているぐらいだ。

多分、否、随分と他の諜報員の皆様依りも仕事は少ないので終わるのが必然的に疾くなる。


成長はしている、筈。

つい最近乱歩さんの付き添いをするようになったのだから。


この調子なら人助け、若しかしたら事件を解決して仕舞うかもしれない。



「どうかしたの?随分と嬉しそうだけど、若しかして善い事有った?」


『ぅ、え、?ご、御免なさい。ニヤニヤしててき、気持ち悪いですよね…』


未来図を思い浮かべていたら何時の間にか頬が緩んでいた様だ。

其れを隠す為に頬を両手で包んで俯く。



頬に触れている手が心做しか熱かった。



「そんな事は無いわよ。むしろとっても可愛かったわ」


『か、可愛い…?否、全然そんな事ありませんし、そう云う春野さんは凄く綺麗です…!』



「まぁ。嬉しい」


そう云って柔らかく微笑む春野さんは同性の私から見ても可愛い。


『そう云えばどうかしたンですか?』


何だか悲しくなったのでさり気無く話題を逸らす。


「嗚呼、其れなんだけど、Aちゃん一寸購い出しをお願いしても大丈夫かしら?」


春野さんが思い出した様に胸の前で小さく音を立てて手を叩く。




『購い出し、ですか?はい!大丈夫ですよ』


「有難う!実は手が空いてなくて行けそうに無かったから」


『そうだったンですね。何を購ッて呉れば良いでしょう?』


「此処に書いて有るものを購って来て貰っても大丈夫?」


『判りました。行って来ますね』


そう云って購う物(リスト)と御財布を持って出掛ける準備をする。




『じゃあ、行ッて____』


「一寸待って下さい!ナオミも行きたいですわ!」



今迄書類と睨めっこをしていた姉様が勢い良く顔を上げる。


何だか厭な予感がする。


直感的にそう感じた。








*

拾漆→←拾伍



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (886 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1691人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。