情報屋。-伍-【銀魂】

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【Aside】







『……』






誰もいない和室に1人佇み

ひたすらに三味線の上で指を踊らせる



黒い面布で見えない手元など気にせず

激しく、そして軽やかに




べん、と一際大きな音を奏でた後

三味線を乱暴に置く







『……彼奴ら何してんねん

よりによって客が揃っとる時に』







数刻前から外が騒がしい


物の破壊音や人が駆けていく足音が止まず

百華が行き交っている







｢月下香花魁！！｣







開けていた丸窓から1人の百華が声を掛けてくる


手には無数の苦無を持っており、

これからその曲者とやらの元へ行くのだろう







『さっきから騒がしいなぁ？』


月詠ちゃんは？』






｢頭は、その、｣







問えば口篭る百華の子


月詠ちゃんが銀時や晴太側に着いた事は

既に百華側にも伝わっているらしい







『ん、分かったわ

これから行くんやろ？気ぃつけてな』






｢はい


どうやら曲者共は日輪太夫だけでなく

月下香花魁も探しているようで……


とにかく気をつけてください｣







それだけ言い残すと

戦闘音のする方へと言ってしまった



自分を探しているのは

日輪太夫や鳳仙について何か聞こうとする為か



恐らく晴太くん辺りに色々聞いたんだろう







『何で神威くんが居るときに……

タイミング最悪過ぎるな』







せめて3日前とかだったら

神威くんや阿伏兎は吉原に居なかったし

まだ楽だったかもしれない



神威くんが変に鳳仙を刺激してそうで面倒臭いな






百華の子に声を掛けられたにも関わらず

このまま此処に居座ってても不審がられる







晴太くんが三味線の音に気付いてくれていればいいが




自分は不定期に此処へ来るから、晴太くんは

今日此処に自分が居るかどうかすら分かっていない




ただ、自分の三味線の音や十八番の曲は

何度か聞かせた事があるからわかる筈


聞こえてさえいれば自分が吉原に居ることは伝わる










『……チッ』







遠くで晴太くんがこちらを見ているのが分かる


戦闘音で掻き消されてしまうかと思ったが、

暫く弾いていたお陰で気付いたようだ



だが、







『んあーー、集中しすぎて気付かんかったわ』







ぐぐっと伸びをした後、

丸窓から屋根へと移る



晴太くんは神威くんによって

既に鳳仙の居る建物へと連れて行かれていた





のんびりしすぎたな


これじゃあ三味線弾いてた意味無いやん

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