花心あれば春心 前編 ページ29
小さい頃から、絵を描くのが好きだった。そのまま大人になって仕事にした、って言えば聞こえは良いけど。正直、それだけじゃ無理だったからバイトもしてる。今のバイト先は、サ店。マスターが絵の仕事も応援してくれてるから、続いてる感じ。
「海人。ラテアートひとつ、頼めるかな」
「え、自由にやって良いやつ?」
「うん、できたら奥のテーブルまで持って来てね」
その日、なんでだか早目にクローズして1人だけお客様が残ってた。マスターの知り合いらしいその人は、若くして部長になったと思ったら郊外の職場へ移るって話で。今までいた本社なら近かったけど店にあまり顔を出せなくなるとか、聞こえてくる。
うーん、会社勤めって大変なんだな。
「お待たせしました」
カップを持ってったら、その人は俺を見て。
「前に言ってたのって、この子?」
なぁんてマスターに聞くわけ。
「うん、ラテアートもなかなかセンスあるでしょ。もちろん、絵も上手いしね。ウチのメニューもさ、海人が作ってくれたんだけど、評判良いんだよね」
本人聞いてるとこで言われるの、照れるんだけど流れ的に奥へ戻るのも、なんかどうなのって感じ。
「ねえ、君。会社勤めする気はないかな?」
「……えっと」
展開が急過ぎるってゆうか。で、困ってたら。
「コイツね、新しいプロジェクト立ち上げるんだ。で、進めてく中で必要なデザイン部門の人材が不足してるんだってさ。だから、話してみたんだよね。ウチのバイトに、イラストレーターがいるよって」
「で、でもマスター」
シフト、どうすんのさ?お店、回せるの?
「どうした?お前、デザイン関係のバイトがあればなあって前に言ってたじゃないか。ま、多少場所は不便かもしれないがチャンスだと思うぞ」
「もちろん、無理にとは言わない。こちらとしてもチームメンバーに君の作品を見せた上で、最終決定させてもらいたいしね。一度考えてくれないかな」
「……わかり、ました」
きっと。マスターは、応援しようとしてくれて。シフトがどうのこうの、なんて言ったって結局俺が逃げ道作れないように決めちゃうんだって。優しい人なの、知ってるから。それ、見えちゃったんだ。
だから、俺はサンプルになりそうな作品を用意して後日、その人とチームメンバーに会うことにした。
漠然としてた、夢を現実にするために。
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黒那智(プロフ) - ななみさん» こんばんは、ななみさん♪コメントありがとうございます。遅くなりましたが、なんとか更新できました(・・;)表向き好青年な黒い闇宮司さん大好きなので。単独主演の設定、ちょっと笑ってしまいました。 (2022年2月13日 22時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - うん、宮寺さん、マジだからね。姫にはガチのマジだから。ここからハブとマングースがちょいちょい勃発するんですね。φ(・ω・`)掃除のおばちゃんには、ヒートテックを送らなきゃです。 (2022年2月13日 17時) (レス) @page28 id: 70db826a37 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - アリスさん» こんにちは、コメントありがとうございます。プラベが慌ただしいので、ちょっと遅くなりますが必ず書くので気長にお待ち下さいませ。 (2021年12月9日 12時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - ぜひリクで♡(ӦvӦ。)計画中やったんですね(≧▽≦)楽しみにしてます(*´ω`*) (2021年12月9日 12時) (レス) id: 5f0b5b138a (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - アリスさん» こんにちは、リク(でいいのかな?)ありがとうございます。実は、計画中でした(笑)。岸くんからは2人がどう見えてるのかな?的な話になりそうです。近いうち(いつや)アップする予定です。 (2021年11月23日 12時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒那智 | 作成日時:2021年5月30日 11時