夜の蒼、昼の朱�� ページ30
メガネ兄さんとこからの、帰り道。先を歩く永瀬くんの背中を見て、考えた。ビジネス上の付き合いがプライベートに及んだとして、受け入れてくれる会社とは限らへん。個人的感情は別にしても。兄さん曰く、岩橋くんは困った顔してたらしいから不意打ちやったんよな。
「おばちゃん……さっき、ありがとうな」
ずうっと黙ってた永瀬くんが、足を止めて。
「俺、頭に血ぃのぼってしもてヤバかったわ」
「ウチこそ、かんにん。足、痛かったやろ？」
永瀬くんは首を振った。
「大丈夫やって。けど、ちょっとだけ聞いて。あの人の話で正直凹んでんねん。俺、なーんもできてへんかったんやなって」
「……ええよ。ほな、ちょっと座ろか」
梅雨入り前、岩橋くんと喋った児童公園で。時間も時間やし、誰もおらへんのを幸いに。
「俺な、体験入社やん？せやからプレゼンする上でも大事ゆうて本社で研修受けたんよ。営業査定とか、社内規程とか。せやのに忘れてた」
「どういうこと？」
入口のワンコイン自販機で買うた麦茶を一本手渡して、２人してベンチに座る。
「契約解除は、期間が短いほど査定に響くけど初回契約やと絶対先輩が付き添うねん。つまり先輩……今回やと岸さんにも影響する。しかも、あの人はリーダーやからプロジェクトそのものにもたぶん関係してくんねん」
「え、予算削られるとかそんなん？」
「……同時進行しとる方が成果良かったら、最悪プロジェクトそのものがポシャる可能性ある。玄樹は、それを避ける方法まで考えたんや」
麦茶をひとくち、何かと喉に流し込んで。
「担当者が変わったら、その後に解除されても岸さんには影響せぇへん。査定の裏技ゆうの？早い話、リセットされるねん。クライアントは社内事情は知らんしな。そうやって、本社から酷い言われようしてでも守ろうとしたんやわ」
「ホンマのこと言うたら止められる、とか？」
岩橋くんは、考えたんやろな。
「良う考えたら、分かったはずやのに。紫耀に頼まれへんかったら、クライアントのこと調べようともせんかった。玄樹がどんな思いしてたか、ずっと知らんままやった。ただ、待ってるだけで何の力にもなれへんままで」
それは、ちゃうよ。
「信じとったんやろ？せやから、岩橋くんは」
自分らのとこに、ボロボロに傷付いてでも。先に進む為に、戻って来れたんやろうから。
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黒那智(プロフ) - ななみさん» ななみさん、こんばんは。コメントありがとうございます♪諸事情により話が長引き、予定より近く、移行しなければならないようです(・・;)ちなみに、受付嬢の下りは番外編【受付嬢はピンチヒッター】より引用です。頑張れ彼氏候補たち(笑)。 (2021年5月8日 23時) (
レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 気になる！気になる！気になりすぎます！毎回更新を心待ちにしております。黒宮司に漆黒も加わって、兄じゃもひらのんも。もう先が気になりますー！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - ななみさん» ななみさん、こんばんは♪コメントありがとうございます。素直にありがとう、とか言わない不器用な甘え方(笑)、きしいわ的な信頼関係な気がしています。たぶん同士は多いはず。あとちょっとラストスパート、頑張りますね★ (2021年3月21日 0時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 岸兄ちゃん…やっぱり妹には激甘ですよね。きしいわ兄妹にしかない関係性、大好きです。岸君がいてくれる安心感。岸君になら出せる感情。姫は一人じゃないって、読んでいて泣きそうになりました。 (2021年3月20日 23時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - アリスさん» こんにちは、アリスさん♪コメントありがとうございます。励みになります(^-^)さて、ヒロイン(おばちゃんにあらず)は誰を選ぶのか(笑)。そろそろ彼氏を決めたいわ(書けよ)。 (2021年2月13日 12時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2020年3月20日 12時
