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第3話 ページ4

無事に遅刻することもなく、久しぶりに6人揃っての撮影は雑誌のそれで。最初に全員で、次に2人ずつに分かれて進んでいく。この後のスケジュールを考慮して、最初は紫耀と廉で。続いて、合同ロケ現場に戻る予定の優太と海人の予定だった、のだけれど。
「すみません、2番目にしてもらえませんか」
 言い出したのは、勇太だった。
「良いけど、二人はロケの時間平気なのかな」
「えっと、夜から朝にかけて撮るらしいっす」
「いや、マネージャーに確認でしょ?岸くん」
 と、海人が連絡を取る間も勇太は玄樹のそばに戻っている。変更理由は、聞くまでもない。
「あ、大丈夫みたい」
 それを聞いて、勇太は更に言った。
「ちょっと、撮影のシチュエーション変えたいんですけど大丈夫ですか?」
「撮れ高ありそうなヤツ?」
 雑誌撮影は発売時期に合わせた企画で距離感のなさが基本ではあるけれど。
「これから寒くなるし、風邪ひいて寝てるのを看病してる感じとか。たまには良いかなって」
「そうだね、悪くないかも」
 撮影用のソファーに玄樹が横たわると、下に勇太が座り額に手を当て、気遣う素振りを見せる。だが、見上げる玄樹の表情も含めて恐らくあれは素の二人だ。体調が悪化したのだろう。その事が影響しないように撮影順と併せて変更したのだ。極力、気付かれない範囲で。
「神宮寺くんにそうやって看病されたい、って女の子いそうだよね」
 スタッフの声と、シャッター音と。
「さっすが、国民的彼氏。エモイよね?」
「……そう、だな」
 こんな風に、いつも一歩出遅れてしまうことが少し……本音を言えば、かなり悔しい。
「そーいや、廉は?」
「ラジオ録りがあるって言ってたから出たよ」
 二人のやり取りを聞くとはなしに聞いていると、別口の取材準備が整ったと声がかかって。
「そこでブランケット……あ、上着かけてみて」
 撮影風景に後ろ髪を引かれる思いで、紫耀はピンの取材を受けに別室へ移動したのだった。
この後、数日に渡り想像し得ない出来事を知らされることになるとは、思いもせずに。
 

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黒那智(プロフ) - ななみさん» こんばんは、ななみさん♪いつもコメントありがとうございます★完全新作ではなく、いずれ書くつもりだった番外的な続編になります。話数にもよりますが、以前のれんいわカテゴリーに載せる予定なので今少し(いつだよ)お待ちくださいませ。 (2020年10月4日 19時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 新作楽しみです!楽しみがある幸せ^_^黒那智さん、待っております。 (2020年10月4日 16時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - けいこさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^_^)まだ書ききれてない部分もあって、ちょっと説明くさいパートが続いてますが、気長にお付き合いいただければ嬉しいです★また遊びに来てくださいね。 (2019年12月8日 3時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
けいこ(プロフ) - この不思議なお話好きです。凄く作り込まれていて色々納得! (2019年12月8日 1時) (レス) id: 5ebf2863bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒那智 | 作成日時:2019年9月22日 16時

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