月輪エンゲージ�� ページ34
第一皇子であるショウが成人する際、先代は言った。次期魔王は三名である、と。即ち自身の血を引く息子全てが魔王足りうるのだ、と。
魔界は、荒れた。前代未聞の話だったからだ。
【今まで、皇子が何人かいたら争うのが道理。で、勝った方が玉座に座って魔族は納得する。不満に思ったところで、所詮歯が立たねえって分かるから次に備えるって訳さ】
これは、部屋を訪れた猫の言葉である。
「次、って？」
玄樹が聞くと猫は尻尾を振り、目を細める。
【魔王に取り入って世継ぎを作るのさ。まあ、王族の血を頂いて強い身内を得たら、一族から魔王が出るかもしれねえだろ？名門ってのは、そうやって残ってきた。今度の新しい魔王は、そっから産まれた生粋だから、なあ？】
【キンキラ！目、両方キンキラ！コワイ〜】
相棒の烏は、翼で顔を覆っている。
「カイトのことだよね？でも、大丈夫だよ」
【まあ、本人はな。けど、母親の一族は違うんだよ。名門の誇り、つうか自分達の血がいかに尊いかって主張してやがるから。第一皇子でさえ、天界の血が良くねえとか罵倒されてるし】
「３つに分断されることが嫌じゃなくて？」
その辺りが、玄樹には分からない。と、猫はつまらなそうに鼻を鳴らして頷いた。
【まあ、あっちを支持する一派も負けてなくて近親婚を繰返して魔力が劣化したくせにって、第三皇子側を馬鹿にしてるけどな】
【レン様、ドコモイナイ。オカシイ】
【何言ってんだ、って話だよ。空を見ろよな】
昼の魔界は、空もまた本来のそれではない。夜、月の姿が露になる時。魔族はその色を見て言うのだ。今日も血を吸っている、だの。金に輝き力に満ちている、だの。それらはショウやカイトが源としている象徴、瞳の色だ。
【連中、まるで分かっちゃいねえのさ。その月がどこに在って、なんで冴え渡って見えるか】
「おや？お前にしては良いことを言いますね」
途端、猫と烏は飛び上がる。戸口の外からであっても感じる、独特の気配。それはこの城の重鎮、血溜まりと闇の瞳を持つ老臣だからで。
「入って宜しゅうございますか、玄樹様」
「どうぞ」
「成人の儀に際しての御召し物にございます」
それは、儀式に対する暗黙の了承を促すものだった。たとえそれが、主であるレンの本意とかけ離れていたとしても……である。
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黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんにちは、いつもコメントありがとうございます♪こちらのページに載せられる話数があと少しなので、最終話＋後日ネタか裏設定、後書きで締めようと思っています。最後までお楽しみ頂けるように頑張ります(^-^) (2021年3月16日 12時) (
レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます！次回最終回さみしい&楽しみに待たせていただきます。 (2021年3月16日 1時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんばんは★コメントありがとうございます♪いよいよ佳境でございます。伏線を回収しきれるか、頑張れ自分(笑)状態です。 (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます。引き込まれます！ (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» はじめまして、こんばんは★コメントありがとうございます。訪問＆コメント大歓迎です♪励みになります。 (2021年1月18日 0時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年5月1日 12時
