漆黒の月 番外編�� ページ28
血溜まりと闇は、本来相反する能力である。と、言うより鎮静を主とする闇の力がそもそも稀有なため必然的に共有者も限られてはいた。
「慣れれば便利なものだがね」
【……なぁ、ときどき爺さんって悪党かと思う】
「ほう？」
【だってさぁ、コイツら爺さんの木偶だよな】
今、二人……正しくは一人と一匹は町外れの店に来ている。より正確に言えば、目的を果たす為に店員達の意志を封じ操っているのだ。
「案じずとも、用済みになれば解放してやるがね。面倒がないよう、我々の記憶は飛ばすが」
そうした微調整を苦もなく口にできるのは、彼が闇の力で血溜まりを加減しているからだ。
【まぁ、いいけど。つうか、在庫がイマイチ】
性別問わず実用的な着衣は、需要がないのか僅か。婬魔特有の、となるとインキュバスものは多いがサキュバスものは一着しかなかった。
「と、なると……迷いどころは」
【とりあえず、一着ずつ持ってく？】
「ところで、擬態の再現はいかほどかな」
【ん？まずまずだろ？シッポは自前だけどさ】
「いや、重要なのはそこではない」
バサバサ、と遠慮なく着替えを繰り返す猫。老臣は、裸体に羽織ったマントを僅かに開く。
「ふぅむ……なるほど」
【何、気にしてんだ？爺さん】
「メタモルフォーゼの進み具合がいかほどか」
【あ！だから、俺に擬態しろっつったのか？】
猫もまた、マントを開いて擬態を見下ろす。
【胸は、あるって言えばあるかなあ？】
「お前の再現が正確なら、今朝は途上だろう」
【んー、けど良い匂いがしたぜ？】
鼻をひくつかせ、猫は言う。
【烏も気付いてなかったけど。血の匂いがさ】
「……血？」
【そ。股の間から伝ってくる感じ？】
「なるほど。レン様の御母堂からお聞きした、話が思い出される。人の子は生まれて間もなく女性の証として血の障りがある、と」
【へぇ、そうなのか！】
猫には初耳だったが、頭の回転は悪くない。
【じゃ、サキュバスの買ってけばいーじゃん】
「レン様も、半分は人の血を引いておられる。御母堂の話を証明できた、と喜んでいただけるかも知れぬな」
【けどさ、血の障りってどれくらいなんだ？】
もっともな疑問を、猫は口にした。
【血みどろだったら、魔王様パニックだろ？】
「そこまでではないだろうがね」
老臣は、平然と密かな笑みを漏らした。
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黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんにちは、いつもコメントありがとうございます♪こちらのページに載せられる話数があと少しなので、最終話＋後日ネタか裏設定、後書きで締めようと思っています。最後までお楽しみ頂けるように頑張ります(^-^) (2021年3月16日 12時) (
レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます！次回最終回さみしい&楽しみに待たせていただきます。 (2021年3月16日 1時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんばんは★コメントありがとうございます♪いよいよ佳境でございます。伏線を回収しきれるか、頑張れ自分(笑)状態です。 (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます。引き込まれます！ (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» はじめまして、こんばんは★コメントありがとうございます。訪問＆コメント大歓迎です♪励みになります。 (2021年1月18日 0時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年5月1日 12時
