漆黒の月 番外編�� ページ27
宵近くになって、変化は顕著になっていた。肉芽だけとなっていた背中に、小振りながらも黒い羽根が生えたのである。
【オトモダチ、オ揃イ！】
烏は喜んだが、現実的な問題はあった。
「今までの服……ちょっと辛い、かな」
天界人は、多くが羽根を持つ。一方、魔族は逆に羽根を持たないのが殆どで。婬魔や、森に住む一部の種族しか羽根は持たない。つまり、需要がないだけに対応した着衣はほぼ流通していない。
「うーん」
今、玄樹は敷布を巻いて局面を凌いでいる。だが、そのままでは城内も迂闊に出歩けない。
「身体は、その……調子悪いとか、ないんか？」
「うん。少し、怠い……くらいかな」
一見して、大きな変化は他にないが。内側で何が起きているかは、さすがに分からない。
「必要があるなら、調達せねばなりますまい」
相変わらずの無表情で、老臣は言った。
「町外れに、希少種族の店があったはずです。しかしながら、ご本人は人目を引く風貌であり出歩くもお辛い。ならば、代理が必要ですな」
「せやけど、実際に着てみな分からんやろ？」
レンが言うと、老臣は傍らの猫を見た。
「短時間であれば、擬態できるのでは？」
【まぁ、背格好似せるくらいなら楽勝だね♪】
「え、そうなの？」
【見くびってもらっちゃ困るね。ま、見てな】
言うが早いか、猫の身体は体積を変え体毛も薄くなってゆく。と、老臣が軽く舌打ちする。
「レン様。ひとまず、マントをお借りしたく」
「え、ああ」
ぱさり、と。変貌する身体を覆ったのは即ち剥き出しの裸体に対する懸念である。つまり、擬態とはあくまでも表面的なもので、思考は。
【どうだ？それなりに再現できてんじゃね？】
二本の足で立ち上がった猫は、瞳の色は自身のそれだがそれ以外はかなり玄樹に近かった。
ただ、やはり中身は猫のままのようで。
【けど、匂いまでは無理だったかな〜】
ためらいなく、膝をつき敷布から覗いていた玄樹の足首に鼻先を近付けペロリ、と舐めた。
「ちょ、お前何すんねん！」
慌てるレンを尻目に、屈託なく猫は言う。
【魔王様も、舐めたら分かるって！】
「早々に目的を済ませた方が良さそうですな」
「……せやな。いろいろ問題ありすぎや」
頭を抱える主に代わり、有能にすぎる臣下はマントを羽織った猫を連れ城下へと足を向けたのだった。
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黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんにちは、いつもコメントありがとうございます♪こちらのページに載せられる話数があと少しなので、最終話＋後日ネタか裏設定、後書きで締めようと思っています。最後までお楽しみ頂けるように頑張ります(^-^) (2021年3月16日 12時) (
レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます！次回最終回さみしい&楽しみに待たせていただきます。 (2021年3月16日 1時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» こんばんは★コメントありがとうございます♪いよいよ佳境でございます。伏線を回収しきれるか、頑張れ自分(笑)状態です。 (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
blackpink(プロフ) - 更新ありがとうございます。引き込まれます！ (2021年2月1日 22時) (レス) id: 2e69ab6484 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - blackpinkさん» はじめまして、こんばんは★コメントありがとうございます。訪問＆コメント大歓迎です♪励みになります。 (2021年1月18日 0時) (レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年5月1日 12時
