恋、始めました 〜１年目��〜 ページ47
紫耀が帰った後、資料を見返すうち影の位置が変わってきて。少し、暑くなる。
「場所、変えようかな」
その前に、と野球部の練習を眺めに行くのは癖のようなものだ。つい、優太の姿を追ってしまう。以前、それとなく幼い頃の話をしてはみたが昔の【ゆうた】なのかどうか確信は持てなかった。けれどそうでなくても、と思う親近感を覚えるのも確かな所で。自転車置き場へと続く、渡り廊下の柱の影へ移動して資料をまた、開く。末尾には部活動の紹介も載っているが、野球部の写真はごく小さなものしかない。
「そういう、ことなのかな」
一回戦負けがほとんどで、部員も少なくて。
「だから何だよ、とか言いそうだよね」
ふふ、と笑ってページをめくると。
「……あれ？」
少し映りが粗い、目の止まる写真があった。
胴着を着ているその顔に、覚えがある。入学式で場所を教えてくれた、名前も聞けないままの少年に見えたのだ。あの後、見学がてら胴着を使う部活動を見て回った時にはいなかったのに写真には使われている、なんて。
「……もしかして、他校とか？」
例えば、非公式で手合わせに来ていたとか。たまたま、それが写真撮影の日だったとか。
「だって、主将とか言われてたもんね」
少なくとも、この学園の中で主将と呼ばれる人は見掛けていないし。三年生の中にも見当たらなかったことを考えれば有り得る気がした。
「……あれ？何だよ、まだいたんだ」
声に振り返る。そこには、優太がいた。
「なんか、もらった資料見てたら遅くなって」
嘘ではない。けれど、それだけでもなくて。
「そっか。今から帰るけど、後ろ乗ってく？」
こくり、頷いたのは。楽をしたいから、ではなく。決して恵まれてはいない環境でもまるで気にしない、まっすぐさに触れていたいから。
「んじゃ、行くか」
正門から、下る坂道。かなりスピードの出るはずの場所を、ひどく緩やかに下りていくのが二人で帰る時の決まりごとなのは。
「なんか、町の景色が止まって見えるね」
「それくらいじゃねえと、怖いっつうじゃん」
わざと速度を落とし付き合ってくれる、この景色が好きで。つい、こんな帰り道を楽しみにする自分がいる。
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【夏色】のワンシーン……きしいわで(こそ)。
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さくら - はじめまして。読ませていただきました。ご本人様達とは関係はないですよね？ (6月13日 12時) (
レス) @page18 id: a57f5c49bf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - アリスさん» こんばんは、コメントありがとうございます★ゲームもどき文化祭が一区切りついたら、おばちゃんネタは私も好きなのでそれも良いかな(笑)。移転目前ですが、２でもよろしくなのです(^-^)/ (2019年10月21日 1時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - どれも好きな作品ばかりですし、次のお話のネタ達も楽しみですが、またしても掃除婦が気になってます(笑)こればかり言ってますね(笑)よければまたお願いします( *´艸｀) (2019年10月20日 23時) (レス) id: bb1ea8dca7 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - もっちさん» コメントレスありがとうございます(^-^)/掃除のおばちゃんネタはノリで始めたのですが(笑)意外とご好評いただいてます。そろそろお話が満杯なので、移行先でもよろしくお願いします★ (2019年10月14日 12時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - お返事をありがとうございます。脳内で実写化して楽しみます。実は掃除婦は見たがすごくツボで大好きなので、またお時間あれば続きをお願いします♪ (2019年10月14日 11時) (レス) id: 32e719aafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年2月3日 22時
