猿原真一とそもそもの出会い��* ページ9
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「なるほど。それは確実につけられている。なまえ さんの勘違いではないな」
「やっぱりそうなんですね……」
「いわゆる『実害』が出ていない以上、警察は動いてくれないですよ。教授、どうしたら良いでしょうか」
猿原さんはこめかみに指を当て考えている。その佇まいはニケのような美しさを孕んでいた。この場合、ロダンと表現した方が正しいかもしれない。
「そうだね。相手が分からない以上、刺激するようなことはしない方が良いだろう。まずなまえ さんを一人にしないことが優先だ。駅までの送迎は私がしよう」
「そんな、申し訳ないですよ」
「なにも一日中駅前にいる訳ではあるまい。着きそうになったら連絡するだけでいい」
「教授、お言葉ですが親である私たちが送迎するのでは駄目なのでしょうか？」
「確かにあなた達の言うことも一理ある。だが私にも考えがあるから、どうか従っていただけないだろうか。なまえ さんの安否は私が必ず保証する。何があっても、私がなまえ さんを家に帰そう」
猿原さんの力強い表情を見てしまえば、私も母も頷くしかなかった。
「本当に、ありがとうございます、教授。今度必ず豪勢な料理を作りますので、是非うちに来てください」
「それならオムライスが食べたいな。欲を言えば何か甘味もあると嬉しい」
「猿原さんうちに来るの？！」
「あらそうよ。教授に相談した時はお礼としてご飯を振る舞うの。いつもはタッパーだけど、今回はご馳走しなきゃね。お母さんの腕の見せ所ってことよ」
「いやまだ解決してないんですけど！」
その日から猿原さんと私の奇妙な関係が始まった。大学に行って、講義を受けて、帰る時に猿原さんに電話をかける。どうやら猿原さんは今の時代に珍しいスマホを持っていない人のようだからメールを送るにもLINEするにもタイミングに困る。だから私はこうやって毎回連絡している。
「もしもし、みょうじです」
「ああなまえ さんだね。もう帰るのかな？」
「ええ。あと1時間ほどで最寄りに着くと思います」
「分かった。また同じ場所にいるから見つけたら声をかけてくれ」
「はーい、それじゃあまた」
「くれぐれも気をつけるんだよ」
「？はい、もちろん」
猿原さんは見つけたら声をかけてくれと毎回言うが、大抵猿原さんが先に私を見つけて声をかけてくる。だから私は猿原さんを呼んだことがない。今日もきっとそうだろう、と思いながら私は早々とキャンパスを出た。
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伊万里(プロフ) - カテゴリーＪ♢桜もち。さん» コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけてとても嬉しいです！大変励みになります！まだ始めたところなので何もございませんが、また見ていただけると嬉しいです！ (2022年8月1日 0時) (
レス) id: 8155f27608 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーＪ♢桜もち。 - はじめまして！！読ませて頂きました✨凄く面白かったので、また更新楽しみにしてます！更新お疲れ様です、応援してます！！ (2022年7月31日 17時) (レス) @page3 id: 1f8c7328a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊万里 | 作成日時：2022年7月31日 17時
