猿原真一とそもそもの出会い��* ページ7
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という私も回想に入る。
昨年の夏。つまり私が大学に入学した年の事、私はあることに頭を悩ませていた。
大学から家に帰る時、最寄り駅の都合上どうしても人通りの少ない道を通らなくてはいけない。いつからか、誰かにつけられている、そんな感覚がするようになったのだ。でも実際に私が見た訳でも無いし、まだ実害もない。しかし、日に日に視線を感じるようになっていた。そのツケが回り、期末試験の後私は見事にぶっ倒れた。
大事には至らなかったが、家族も私も今後どうするべきかと問題になった。大学近くに下宿するにしても時期が遅すぎるし、実害がまだないから警察は動いてくれない。引越しをするにしてもそれじゃあ私のせいでみんなに迷惑をかけてしまう。私はそれが一番嫌だ。いっそ私の勘違いでいてほしかった。
ならば教授に相談しようと、母は言った。教授？ そんな人いたっけ、なんて思う暇もなく母はどこかに電話をかけ、気づけば「教授」の家の前までたどり着いていた。3軒程隣にある日本母屋は至って普通。特に変わりあるものでは無い。
「教授、みょうじです」
母が教授と呼べば、引き戸がガラリと開いた。そこには作務衣を身に纏い、掴みどころの無いような表情を浮かべる青年が立っていた。青年は私を一瞥すると、目を細めて顎に手を当てた。その姿がやけに様になっていたため、私も青年を見返していた。
「やあこんにちは。初めて見る顔だね」
「は、初めまして。みょうじなまえ です」
「なまえ さんだね。私は猿原真一。さあ上がってくれ。話は中で聞こう」
母に手を引かれながら私は猿原さんに着いていく。母は手馴れているようだった。
座敷に案内され、腰を下ろす。すると母は待ちわびたかのように持っていた紙袋を猿原さんに渡した。
「教授。いつもお世話になっております」
「今日はわらび餅かい！ 嬉しいな。あなたのわらび餅は餅もそうだが、黒蜜の選定がいいからね。後で食べよう」
第一印象は「とても変わった人」だった。「教授」、とお母さんが言うからもう少し年上なのかと思っていたけれど、私と何ら変わらなさそうに見えた。お母さんのわらび餅に感動したのか知らないけれど、急に俳句を詠みだしてびっくりした。母は変わらずニコニコと笑っていたのでこれが猿原さんの日常なのだと思った。
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伊万里(プロフ) - カテゴリーＪ♢桜もち。さん» コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけてとても嬉しいです！大変励みになります！まだ始めたところなので何もございませんが、また見ていただけると嬉しいです！ (2022年8月1日 0時) (
レス) id: 8155f27608 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーＪ♢桜もち。 - はじめまして！！読ませて頂きました✨凄く面白かったので、また更新楽しみにしてます！更新お疲れ様です、応援してます！！ (2022年7月31日 17時) (レス) @page3 id: 1f8c7328a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊万里 | 作成日時：2022年7月31日 17時
