猿原真一とカキ氷��* ページ18
「さて、頂こうか」
「はい！ 昨日からずぅーっと待ってたんですからね」
「すまなかった。今日はたんと食べなさい」
「もちろんそうしますってば！」
白い山から一匙の氷をすくいだし、小豆と抹茶を絡める。一度口の中に入れてしまえばもう止まらない。じゃりじゃりとした氷が舌先で溶け、クリームソーダが舌の上でしゅわしゅわと弾けることにより、こめかみのあたりの痛みを中和してくれているような感覚に陥る。桃井にならうならば80点と言ったところか。一番？ それは秘密だ。
「ねぇねぇ見てください！ ブルーハワイめっちゃ可愛いですよー！」
なまえ はご機嫌そうに自身のカキ氷を見せてつけてくる。やはりなまえ の方もおまけされてないか？ 私の方にはさくらんぼなんか乗っていないのに、ブルーハワイの頂上にはちょこんと飾られている。これは絶対はるかがやったに違いない。
なまえ の手にあるその清涼はまるでサルブラザーの色のようだと、柄にも無く思ってしまった。
「真一さんみたいですよね」
示し合わせた訳でもなく、私が頼んだことでもないのに、なまえ はいとも簡単に私を喜ばせる言葉を口にする。そんな顔で言われてしまえばもう何も言えやしない。全く、君という人はとんだ人たらしだ。
「な、なんでゲンドウポーズしてるんですか」
「何も問題はない。こめかみにキーンと来ただけだ」
「それならいいんですけど。あ、抹茶ちょっともらいますね」
好きにしてくれと呟くように言えば、なまえ は私のカキ氷をすくった。そしてそれを口に含みながら美味しいと言って笑う。何気ない彼女の行動が、私の心を乱すのだ。
「なんだか今の真一さん、とっても幸せそうですね。そんなに美味しかったんですか？」
「……うん。とても美味しいよ。そうだ。私も君のブルーハワイをもらおうとしようかな」
「一口だけですからね？」
「さぁ、それはどうだろう」
「その顔じゃ絶対一口じゃないでしょ！」
「ふふふふ」
「取りすぎだってばー！」
なんだかんだで全てを平らげ、前回のように支払いを俳句でやりくりしようとしたが、代金はもう十二分に受け取ったとマスターは話を聞かない。なまえ に金を触ったのかと驚かれたが、そんな記憶は無い。こんなこともあっても良いか、と私たちははるかに背中を押され喫茶どんぶらを後にした。
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伊万里(プロフ) - カテゴリーＪ♢桜もち。さん» コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけてとても嬉しいです！大変励みになります！まだ始めたところなので何もございませんが、また見ていただけると嬉しいです！ (2022年8月1日 0時) (
レス) id: 8155f27608 (このIDを非表示/違反報告)
カテゴリーＪ♢桜もち。 - はじめまして！！読ませて頂きました✨凄く面白かったので、また更新楽しみにしてます！更新お疲れ様です、応援してます！！ (2022年7月31日 17時) (レス) @page3 id: 1f8c7328a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊万里 | 作成日時：2022年7月31日 17時
