Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ4)

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「、あ、」

メインディッシュが運ばれてきて、ようやく、物思いにふけっていた彼女はステムから手を離した。

「そうだ。りょう、ずっと言い忘れてた。
今日も現場監督お疲れ様。」

Aは顔の前でグラスを掲げて悠然と笑む。コクリと白い喉が上下に動く。ぬるいなぁと苦笑いながらも彼女はこちらを見つめていた。

「ありがとう、A。」

「りょうがホントは二刀流だ、って視聴者の皆が知ったらアンチがまた減るじゃんね、良かった。

でも気をつけてね。」

再び眸を葡萄色に染めたAは言葉を続けた。

「祐輔なんてさ、優柔不断で、友達としてはあれだけどこのネット社会じゃ評価が上がったり下がったり、悔しいだろうね。

だって、私のことだってさ、
ちょっとした発言で、確信もないのに記事になるような時代なんだよ。心配だよ。

あ、だからりょうも好感度が上がっても下がるかもしれんから気をつけてねってことだよ？」

曖昧に笑って自分を見つめる姿。ずっとそう。ついさっきもそうだった。

「Aはいつもそう、昔からだよね。
全部しばゆーしばゆー。」

思い出した様に、こちらを見つめる丸い眸。気持ちだけじゃない。視線だってそうだった。呼びかけないと向かないそれ。

「確かに高校の頃もそうだったね。」

ハの字眉を描いて、グラスに手を伸ばす彼女。