Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ17)

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陸上部にむりやり連れてこられた私は、しかしその練習風景に心を打たれた。

風を切って前だけを見つめて走る選手たちが、なぜだか眩くて仕方なかったのだ。

特に、体操服を着ている彼。おそらく１年生だろう。一生懸命先輩たちについていこうとする姿が輝いていた。

見慣れた顔を探そうとした時に視線がかち合ったのが、件の彼、てつやだった。

「あ！」

幼さを残した端正な顔の少年が口をあんぐり開けて私を見つめていた。

誰だろう？と首を傾げた時に、彼は入学式の時にぶつかった、と言うことを口にした。

「え、あのとき眼鏡かけてましたよね？」
「部活のときは取るようにしようかなって思っていて、」
「へぇ、全然印象違いますね。」

マンモス校の校舎で迷った祐輔を探していた私は、前方不注意で誰かと思い切りぶつかった。

眼鏡をかけた背の高い少年は、戸惑いながらも優しく手を差し伸べてくれたのだ。

「あ、そんなことより、あの時はありがとうございました。」
「い、いえ。そんなの全然っすよ。」

目を泳がせて頬を染めるあの頃のてつやはまだおぼこくて可愛らしかった。