Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ13)

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「こうなっちゃった。」

珍しく、そさくさとパソコンをとじているのを見る限り、やっぱり恥ずかしいんだろうな、と思うと可愛らしいとAは笑みを浮かべていた。

もちろん仮面で誰にも見えないが。

「かっこいいかもしれんなぁ」

「声がめっちゃいいね。
てつやの歌最後まで聞けたの初めて。」
「それ。声がめっちゃいい。」

実際加工が凄いことをカミングアウトしちゃって、地声は偉いことになってるっていうサブチャンネルとの比較はこの世の真理だね。

って何だか出来すぎたオチになったなぁ、と撮影終了後にAは隣に座るとしみつと顔を見合わせて笑った。

てつやは不満そうに口を尖らせて彼女を見つめていた。

「てっちゃん、歌声の加工がすんごかったよ。」
「なんで第一声がそれなのさ〜！」

それを知ってAは愉しそうに笑った。不貞腐れたてつやはこれまた可愛らしい。

「ふふ、凄く懐かしくなったげ。覚えててくれてありがとうね。」
「！そんなの忘れるはずないじゃんか！」

お面を外したAは優しい眸をしていた。不安げなあの頃の彼女はもういないようだった。
　
ズキン、と胸がひどく痛んだ。理由はわからなかった。