Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ11)

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「ということで2週間経過しました！！！

2週間経過しました感が満載。」

てつやは自分の顔を指差す。メンバーはそれぞれ笑い、室内には穏やかな空気が流れてく。

「できたんだね。」
「らしいね！私デモも聞いてないから超楽しみ！」

としみつの隣に座った将軍はワクワクしながら彼の言葉に頷いた。

もちろんその期待に満ちた表情はお面に隠れて見えやしない。

新しくなった黒い狐のお面の正面に座るてつやは、別にお面が怖かったわけでも、慣れなかったわけでもないのだが、動画を進行しながらも、イヤホンを弄って気を紛らわすくらいには緊張していた。

「あと今回ね、簡易的なPV的なやつも一応作ってございます。」
「え〜」
「ふざけんなよ〜」

「待って、もしかして将軍それに出たの？」
「まさか！曲も聞いたことないって！」

ブルブルと首を振りながらAは、少し固い表情のりょうの言葉を反芻させた。

ーー私が出ても違和感のないような曲って、どんなだ？

3つ目のイヤホンを両耳に装着しててつやのパソコンの画面を覗き込んだ。

「こちらが僕の、Coming out of the worldです！
どうぞ！ていっ！」

ドクン、Aの心臓が音をたてた。

てつやの音痴っぷりは知っている。
だからこそ、たとえプロだからといって彼のあのボイスをどうこうできるのだろうかという不安があるのだ。

そんな心情を知らずに、てつやは照れた様子でAを見つめていた。全てを知るりょうは、画面をただ真剣に見つめるよう努めていたのだった。