・ ページ26
「今日誰もおらんって言うから早く来たのに。家政婦さんおると思わんだ。」
「だーかーら、あの人家政婦じゃないって。お掃除しにくるハウスキーパーさん！」
「俺みたいな庶民からしたら一緒やん。」
「何言ってんの。」
ビューラーでまつげを上げながら、いつの間にかベッドに腰を下ろしているてつやを睨む。その服洗濯してるよね？
「昨日増田たちと何してたん？」
「初めは3人で飲む予定だったんだけどね、増田の彼女紹介してもらって４人でご飯食べた！
あの子超いい子じゃんね！可愛いし最高！」
眉毛を描く手を止めて同意を求めると、てつやは眉間に寄せていたシワを無くして頷いた。
増田にはもったいないくらいな、なんて冗談を言いながら。
ボルドー色の紅を塗って、髪の毛を高い位置で１つに縛る。
パッと唇を内に包んで色を馴染ませていると、じーっと視線を感じて視線を鏡からそちらに向ける。
「えろい。」
「キモい。
さっ、行こ！お待たせしました！」
未だむむむなんて唸ってるてつやを他所に、トレンチコートを羽織って階段を降りた。
「でもAほんとに色っぽくなった。
垢抜けたし、綺麗だよ。」
シートベルトを装着していると、急に、真剣な顔でこっちを見てくるものだから、思わず視線がかち合って。
高校の頃よりずっと老けたし、爽やかてっちゃんはどっかに行ってしまったけれど、それでもヘーゼルの澄んだ眸は相変わらずとても綺麗だった。
「顔真っ赤やん。
そんなとこは変わらんね、可愛いなあ。」
「うるさい。マジで黙って。」
目がなくなる位に細めて笑う姿がちょっぴり可愛いなとか全く思ってないし。
早く出発してくれないと、ざわくんの約束の時間に間に合わんやん。と早口で言い立てて顔の熱を逃そうとした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 393人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むむ◎ | 作成日時：2019年4月14日 14時
