Ⅰ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ22)

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てつやがシャワーを浴びてから始まった撮影は、相変わらず楽しいものだった。臭くもなかったし。

ぷっ、と先日の日曜日を振り返って思わず笑いが溢れる。彼女がその日一番笑ったのは、工藤新一選手権だった。

久しぶりに見た、世間で言う"しばゆー節"。きっと東海ファンにしても待ち侘びたものなんじゃないだろうか。

公開日が楽しみだなぁと、司会進行に勤しむ虫さんの後ろで腹を抱えて笑った撮影場面を思い返して、彼女の顔に自然と笑みが浮かんだ。

「何一人で笑ってんの？怖いんだけど？」

「タイミングが悪いじゃんね！
てかお疲れ！迎えに来てくれてありがと。」

ハンドルにもたれて爆笑している男性を他所に自然な流れで助手席に座ったAは、夕日の眩しさに目を細めて、運転席の伊達男を羨ましげに見つめていた。

察しの良い彼がサングラスを外そうとしたのと、彼女がトートバッグを探るのは同時だった。

「お面するわ！そしたら日差しマシじゃんね！」

「待って、おもろ過ぎ！なんでそんな発想に至るん？！」

Aはシートベルトを装着して、お面で狭くなった視界でもわかるくらいに、笑っているりょうを呆れたように見つめていた。

「増田彼女と同棲してるだらー？

良いの？私と3人で飲みなんて。」

留学する前は増田にも彼女はいなかった。

だからこそ、よく３人だったり、出っ歯込みの４人でバカをしていたが、彼女がいるならそうはいかない。

私の存在を疎む女がいることはてつやで学習済みだ。

と、ようやく笑いの収まったりょうにAは今日の約束を取り決めたお帰りパーティーから気になっていたことを尋ねた。