Ⅰ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ21)

今日:2 hit、昨日:29 hit、合計:275,409 hit

・ページ21

ギャーギャー喚いているてつやをシャワールームに押し込み、Aは椅子に座って会話をしているりょう、しばゆー、ゆめまるにレンズを向ける。

「頭痛ぁ」

「そういえば、今日はしばゆー遅刻してないね。」

「え、ああ。Aちゃんが迎えに来てくれたから。」

片目をつぶって痛みに耐えているしばゆーは、ゆめまるの問いかけで、パッと顔を輝かせてAに向かって八重歯を見せた。

「いや、普段からも頑張りや。
10時集合じゃんね？頑張れば行けるげ。」

「嘗ての遅刻魔将軍からそんな言葉が聞けるなんてね。」

「私も成長したんよ。
あ、りょう、祐輔の住所教えてくれてありがとね。」

スマホを触る手を止め、りょうは白い歯を見せる。

ドＳな笑顔もカメラの向こうにいる視聴者にはたまらんだろうな。とAは謝礼を口にしながら思った。

「そっか、しばゆーの岡崎の家は、将軍があっちに行ってから買ったんだっけ。」

「そうそう。実家も移動しとるし、もううちから徒歩数分だった柴田家はどこにもないんだよなぁ。」

時が経つのは早い。これを見ている視聴者さんには自分たちの半分しか生きていない子達もいるんだろう。幼い自分が想像だにしない出来事が起きるのが人生だ。

しばゆーを眩しそうに見つめる視線はお面の中で誰に気付かれることもなく、Aはカメラに向かって締めの言葉を口にした。

「と言うことで、皆さん今を大切にいきましょうね。人生いろんなことありますからねぇ。」

と、同時にガチャリと戸の開く音がして、重役出勤をしたとしみつの姿がカメラの端に映る。

「因みに、こんな遅刻する大人になっちゃだめですよ〜」

そして、驚いた顔のとしみつのアップで録画は終了されたのだった。