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Mondoが立ち止まったのは私が予約していたホテルの前だった。
ずっと見ていたスマホからようやく目線を移し、今度は私を見る。



「ここ?」

「あっ、そうです」

「うん。バイバイ」



それだけ言ってどこかへ行こうとしているMondoの腕を掴んで「待って!」と大きな声を出す。
Mondoは人目を気にしながらも「なに」と言って立ち止まってくれた。
すごく離れたそうにしてるけど。



「えっと、まずありがとうございます」

「はい」

「それとその、怪しまないで欲しいんだけど……」



この先を言うのが躊躇われる。
でも言わなきゃ一生後悔すると思う。
Mondoへの想いを払拭するために韓国まで来たのに、逆に後ろ髪を引いたら意味がない。



「連絡先教えてください」

「無理。リスナーだろ」

「待って待って待って! ただのリスナーじゃないから!」

「スパチャした人?」

「したけどそういう意味じゃない。一般人じゃないの」

「……ストリーマー?」

「そう! そうです! CR所属のストリーマー!」



早すぎる断りを慌てて先延ばしにしてみたが、どうだろう、効果はあるだろうか。


Mondoは相変わらずの用心深い気持ちで「名前は」と聞いてきた。
待ってました! と言わんばかりに「Peluです!」と元気よく答える。



「あぁ、知ってる」

「え、配信見てくれてるの?」

「いや見てない」

「じゃあなんで知ってるの?」

「仕事で知った」

「仕事……?」



ストリーマーを辞めたんだから新しい仕事をしていたって不思議じゃない。
でもMondoの働いている姿が想像できなくて眉をひそめた。
それに仕事で私のことを知るって、いったいどんな職種に就いているのだろう。



「仕事、何してるの?」

「おじじと働いてる」

「……え? CR?」

「うん」

「でも辞めたんじゃないの?」



CR公式Twitterには引退と書かれてあったし、おじじの口からも「Mondoは引退した」と確かに聞いた。
なのに当人は「CRで働いてる」って……。
どういうことか見当もつかなくて更に眉根を寄せる。


Mondoは「この話、長くなる?」と聞いて、私がそれに頷くと、「じゃあなんか食べよ」とだるそうに言った。


スマホのホーム画面には13時21分と表示されている。
きっとご飯を食べるために外出しただけなのに、不運にもこんな面倒事を頼まれてしまったんだろう。


私は「急いでチェックインします!」と駆け足でホテルの中へ入った。

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設定タグ:CR , CrazyRaccoon , Mondo   
作品ジャンル:恋愛
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時

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