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ご飯が美味しすぎてあっという間に食べ尽くした私達はコーヒーを飲みながら少し休憩をしていた。
窓から差し込む暖かい陽光を浴びると自然にあくびが出てしまう。
毎日がこんな平和な日々だったらいいのに。
有給終了まであと2日。でも実質1日だ。
明日の夜には出発して、10日目の早朝には日本に着いている予定だから。
それにもう7/1だ、月日の流れは早い。
……7/1? あれ、7/3って確か……。
「Mondo! 誕生日!」
「は? 今日誕生日なの?」
「違う違う、7/3ってMondoの誕生日でしょ!?」
「あー、うん」
「なんか言ってよ!」
危うく忘れるところだった……。
最推しの誕生日を忘れるなんて死に値する。
「なんかって何。自分で誕生日だよって言うの? おかしいだろ」
「いやそうなんだけど匂わせとかしてよ! 欲しいものとか言ってくれればいいのに」
「だから欲しいものないって」
そういえば一緒に買い物した時も『なんもいらねぇよ』って言ってたよな……。
「本当に? 本当に何もないの?」
「うん。……あ」
「何かあった!?」
Mondoはこくりと頷き、「Aのミサンガ」とだけ言った。
「いや、もちろんあげるけどあれはご飯のお礼だから誕生日プレゼントじゃないよ」
「いいよ、同じで」
「……なんか意外かも。金くれぇ! とか言いそうなのに」
Mondoは「言うわけないだろ」とむすっとした表情をした。
「なんで好きな人に金くれって言うの」
「!? げほっ、げほ」
「きったね」
「汚いは、げほっ、言うのかよ、げほっ」
デートとか好きな人とか、いきなりなんてワードをぶっ込むんだ。
「ミサンガくれぇ」
私の気持ちなんて知る由もないMondoは子供のように机の上に乗せた手をパタパタと動かしながらそう言った。
別れ際に渡すつもりだったけどこんなにも楽しみにしてくれているのなら仕方ない。
「分かった分かった。今出すからちょっと待って」
「じゃじゃーん」という日本ではお決まりの効果音を言い、バッグの中から可愛く包装されたプレゼントを取り出す。
Mondoは嬉しそうに笑って「ありがとうございます」とお礼の言葉を口にした。
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時