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ホテルから出るや否や、Aは足を止めて俺の腕を掴み、「これどうしたの?」と狼狽した様子で聞いてきた。



「怪我した」

「見りゃ分かるよ……。どうして怪我したの?」

「ルリ助けた」

「……ごめん、全っ然分かんない。1から教えて」



Aは空いている手でこめかみ当たりを押さえている。
そこまで難しいことを言っただろうか。



「夜散歩してたら運転下手くそな奴が突っ込んできてルリ助けようとしたら転んだ」

「…………ごめん、もう1回」

「だから、夜散歩してたら運転下手くそな奴が突っ込んできてルリ助けようとしたら転んだ」

「……えっと、まず、手首以外に怪我は?」

「特にない。ルリも元気」

「その運転下手くそな人はどうなったの?」

「知らん」

「知らん!? 警察に言わなかったの!?」

「言った。でも俺、ナンバー見るのできなかったから警察に何もできないって言われたよ」

「あぁ〜、なるほど……」



でも事故証明書はもらえたし、治療費は保険が使えるように色々とアドバイスもしてくれた。
Aが思っているほど韓国の警察は無能ではない。
これは日本語で説明できないから言わないけど。



「……すっごくイライラしてきた」

「えっ、な、なんで?」



また何かやらかしただろうか。
もしくは言葉を間違えた?


焦って聞くと、Aはムスッとした表情を見せた。



「だってそのせいで辞めることになっちゃったんでしょ?」



続けて「悔しいよ、そんなの」と力なく言うから、俺は反射的に「違う」と言ってしまった。



「怪我のせいじゃない」

「えっ……?」

「逃げたんだよ、俺」

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作品ジャンル:恋愛
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時

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