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近況報告、X線撮影、軽いリハビリの説明などを全て済ませてから担当医にこう持ちかけた。
「復帰したいです。できるだけ早く」
俺が元プロゲーマー、そして元ストリーマーであることを知っている医師は「うーん」と唸るような声を出した。
「最低でも全治4ヶ月ですよ。手術するとなると6ヶ月が目処です」
「それまで待ちます」
「半年経ってすぐに元通りになるわけではないんです」
「もちろん分かってます」
「……私はあまりおすすめしませんが……」
医師は俺の手首をちらりと見た。
そこには、手術に向けて着々と準備が進められていることを証す、前のものより頑丈なサポーターがある。
「だって」医師は続けた。
「靭帯損傷してるじゃないですか」
手術を受けることを決断した理由はストリーマーとしての生活に戻りたかったからではない。
怪我のせいで今まで通りの暮らしができないことに圧倒的な不便さを感じたから。
そもそもリハビリやら注射やらの保存療法は俺の性に合わないし。
しかし今は違う。
一刻も早く復帰したい。だから手術を受けるのだ。
「お願いします」
どうしても戻りたいんです。
俺が頭を深々と下げると、医師は焦ったような声を出して「分かりました、ご希望に添えるよう努力します」と口早に言った。
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時