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Rasの質問に、長袖で隠れている手首を擦りながら返した。
「そろそろ手術する」と。
店内は寒いくらいに冷房が効いている。
外は夏寸前の温度なのだから当然だ。
もう服で隠すのは限界だろう。
「手術が成功したら？」
続きは言われなくても分かった。
黙って首を振る。
Rasもまた、言葉無しで伝わったようだ。
俺は二度と戻らない。
怪我はただの不運で、理由ではない。
「戻りたくもない？」
……分からない。自分でもよく分かっていない。
しかし望んだ現状に満足していないのは事実だ。
胸の中にぽっかりと穴が空いたような感覚、まさに言葉通りの心情で日々を怠惰に過ごしている。
いつだったか、こんな生活をAが変えてくれると夢想した日もあった。
「知らん」
ぶっきらぼうに返したのに、笑顔になるRasは変な奴だ。
まるで俺が「戻りたい」と言ったみたいじゃないか。
「早く女性と仲直りしてくださいよ。可哀想だから。それに"炎上"するよ、"炎上"」
「はいはい」
仲直りできるものなら俺だってそうしたい。
というか、既にやってる。
できないのは俺の心がまだガキだから。
いい歳した大人なのに、どう話しかけたらいいのか分からないから。
……大人だからこそ難しくなったことって、たくさんあるけど。
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです！お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています！ (2022年3月22日 19時) (
レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しりお | 作成日時：2022年3月10日 19時
