検索窓
今日:115 hit、昨日:75 hit、合計:288,630 hit

. ページ28

.


私達は話に花を咲かせた。
日本と全く違った韓国の常識、Mondoの高校時代、兵役の話、MVPに所属していた頃の思い出、CRKR勢の秘密など。


どれもこれも初耳で、全ての話題に食らいつくようにして聞いた。
そんな私をMondoは「犬みたい」と笑った。失礼な人。


いつまでもこの時間が続けばいい。
しかし無情にも時間は有限で、且つ流れていくものだ。
空想にふけるだけ無駄である。


とどのつまり夜になってしまったのだ。
Mondoには仕事があるから、そろそろ帰らなければならない時分だろう。



「もう夜だけど帰る?」



ルームサービスで頼んだノンアルコールのお酒を口元から離し、机に置いた。
隣に座って同じお酒を飲んでいたMondoもグラスを置き、こう言った。



「どっちでもいいよ」



まだ俺といたいだろ?
そう言いたげな表情だ。



「……じゃあ、帰ろっか」



ここでMondoに近付いたらダメだ。
危ない橋を渡るような馬鹿じゃない。
私にだって流石に倫理観はある。


とりあえず立ち上がった。
Mondoを送らなきゃ、せめて玄関先までは。


まだソファーに座ったままのMondoに「ほら」と言って手を差し伸べる。
Mondoはその手を取り、そして何を思ったのか、突然引っ張った。



「うわっ!!!」



慌てて手をつこうとするも上手くいかず、そのままMondoに抱き着くようにして倒れてしまった。


すぐ離れようと身をよじるが、それを逆手に取られて物理的な立場が反対になる。
上から私を覗くMondoの瞳は怖いくらい欲を主張していて、私は瞬時に、「食べられる」そう思った。


恐れか、照れか、はたまた酔いか。
体がじんわりと熱くなり、背中や脇から汗が出てきた。


Mondoは呆気に取られている私の腕を自分の首に回させて、左手を背中に、右手を膝裏に滑り込ませた。
この先は、想像しなくとも分かる。



「ちょっ、ちょっとMondo!? よくないよ!?」



ついに持ち上げられてしまった。
足が宙ぶらりんになっていて、とても怖い。


慌てて止める私を無視して、「ごめん」とひと言。
悲しそう……、いや苦しそうな表情で私を見ている。

.→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (243 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
865人がお気に入り
設定タグ:CR , CrazyRaccoon , Mondo   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。