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そろそろ体が腐りそうだったから外に出た。
天気もいいし、人もそこまで多くない。
今日は絶好の外出日和だと、そう思った。



「お前、日本人?」



この言葉を聞くまでは。


眉根を寄せて、声がした方へ顔を向ける。
視界には反日感情剥き出しの男と日本人女性が映っている。


女性は韓国語が分からないようで明らかに戸惑っている。
なのに周りは誰も助けようとしない。



「キモいから韓国に来んな」



今すぐあいつの口に猿轡(さるぐつわ)をぶち込んでやりたい。


でも俺が出ることで事が大きくなったら?
あの女性を困らせたらどう責任を取ればいい?



「死ね、消えろ。あばずれ」



その雑言によって、俺の足は勝手に動き始めた。
待て止まれ、冷静になれと警告する脳を完全無視して男の(もと)へ歩いてしまったのだ。


……あぁ、もう、どうにでもなれ。
事が大きくなるかどうかは俺次第だ。
最悪、俺が殴られてもいい。怪我してもいい。
もう自分の体を気遣う必要はない。辞めたのだから。



「何してんの」



タトゥーだらけの体に話しかけた。
女性を安心させたくて、壁になるように立つ。



「お前に話しかけてねぇ」

「良くないだろ、こういうの」

「まさか親日か? なんでクソ日本人の肩持つんだよ。日本が過去に何をしたか知らないのか?」

「俺達は同じ人間だろ。わざわざ差別する必要なんかない」

「その同じ人間に何をされたか思い出せ」



悲しい。全ての日本人にそんな思想を持っていることが。
俺は知っている。多くの日本人は素敵だということを。



「本当、こういうことやめてくれ。この女性は日本人が大っ嫌いなお前の話を聞いてる。韓国語が分からないのに理解しようと必死に聞いてる。お前も日本人の言葉に耳を傾けろ。互いにリスペクトし合えよ」









「カトク。LINEでもいいけど」



酔っていないのにこんなことを言ってしまったのは同情心なのだろうか。
それとも単純に仲良くなりたいから?


よく分からない気持ちを抱えたまま、嬉々として連絡先を交換するPeluという配信者を見る。
不思議と照れくさい。
なんでだ? 意味が分からない。



「……これ、本名?」

「そうですそうです。Aです」



A。可愛い名前だと思った。


あ、いやっ、まぁ、悪くない。うん、悪くはない名前。

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設定タグ:CR , CrazyRaccoon , Mondo   
作品ジャンル:恋愛
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時

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