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ここからはまた先と同じことの繰り返しである。
俺は虎杖に、真依さんは片割れに追い回されている。真依さんと合流したいことを知っているからか、虎杖は俺を真依さんから離すように迫ってくる。
目標を祓うより俺達を潰した方が勝ちやすいと思われているようだ。
俺はだんだん腹が立ってきた。
まともにやり合ったら敗北することは認めよう。だがここは障害物が多い森の中だ。慣れない地形で化け物を退治することは俺の方が熟れている。
俺は、今まで背中を見せていた虎杖に向かって正面を切った。
虎杖は一瞬驚いた顔を見せたが、その表情は瞬く間に消え、すぐに俺に対する敵意を剥き出しにしてきた。
虎杖の攻撃をモロに喰らったら気絶する。負ける。真依さんから遠ざかる。
俺は全神経を集中させてタイミングを計り始めた。
この時だけは命を狙う悪魔でさえ仲間に入れて影を作った。
普段の俺では到底考えられない反射神経と動体視力を用いて虎杖の足元に影を生み出す。この地味な反撃のおかげで虎杖はバランスを崩し、本来俺の顔面に当たるはずだった右ストレートは空を切った。
そのままずぶずぶと虎杖を影に落とす。いつ抜け出されるかは分からないが、とりあえず時間稼ぎはできるはずだ。
文句を言う虎杖をシカトして、今まで走ってきたルートを逆走する。
真依さんを助け出したくて足を動かし続ける。しかしどこにも居ない、全く見つからない。こんな深い森に居てはもう二度と会えないかもという荒唐無稽な考えで不安になる。
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作者名:しりお | 作成日時:2021年11月27日 20時