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俺達が互いに差し伸べた手は見事重なった。
口にも筆にも尽くせない感動に顔が綻びそうになるが、次の瞬間に真依さんの華奢な体が宙に浮いていることに気が付いて、必死に引き上げた。
その際に掴んだ腕が細く、俺はいつか真依さんが崩れていく夢を見てしまった。
「これからどうするつもり?」
真依さんが言った。俺はそれに頷いて会話を続ける。
「あの山の中腹で作戦を立て直しましょう。目標は見つかりましたか?」
「残念だけど気配すらなかったわ」
「弾はあといくつですか?」
「二発よ。術式を使うなら三発になるけど……」
「いえ、使わず勝ちましょう」
真依さんは、遮ってまで断った俺に微笑みかけて「そう」と言った。
真依さんが体を酷使したとしても勝てる可能性は微々たる差である。それならばいっそ健康体で居てくれた方が有難い。
……一番の理由は絶対に無理をして欲しくないからだが、それを素直に口にできるほど俺の精神年齢は高くない。
無言による気まずい雰囲気が流れる前に目的地に着き、俺はひと安心した。(俺だけであろうが)俺達がつくり出す無言は肉感的な雰囲気を想起させる。
鵺を影に仕舞ってから真依さんに話しかける。これから勝つための計画を練らなくてはいけない。
「狙いは真希さんです。まずは真希さんを取ってから虎杖を封じ込めましょう」
「また戦うってこと!?」
「もしも、次、また会ったらの話です。当然あの二人は避けて……」
その時、下の方からうるさい足音が聞こえてきた。その音は確実にこちらへ向かってきている。
俺達は悟った、もう追いついてきたのだと。そしてアイツらを舐めていたことを認め、血相を変えて二手に分かれた。
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作者名:しりお | 作成日時:2021年11月27日 20時