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どこまでも深く、どす黒い影を真依さんの足元まで伸展させる。
彼女は片割れにカウンターを喰らい、地面に背中を叩き付けられそうになるが、その前に影を滑り込ませた。なんとか間に合い、真依さんが負傷することはなかった。
「伏黒君!!」
真依さんが俺の名前を呼んだ。
その表情は怯えきっていて……いや、姉に対する愛憎に顔を歪ませていただけかもしれない。
微かな嫉妬が胸を痛める。俺は早く二人を引き離したくて、真依さんを影に引きずり込ませた。
あの影の中に俺以外の人間が入ったことはない。虎杖だってせいぜい半身までしか嵌っていなかった。
俺は影で手を作り、真依さんをその中へ強引に落とす。
当然、片割れの真希さんは身の危険を感じて、やっと俺の崇拝する彼女から手を離した。
真依さんが化け物の餌になるなんて有り得ない話だ。彼女には誰も触れられない。高潔な神が堕ちるなんて、あってはならないのだ。
真依さんを回収し、また逃げよう。虎杖はまだ追いついていない。かの真希さんだって虎杖なしでは身勝手な行動をとるわけにはいかないだろう。このまま俺達は無駄な対人戦を避け、目標を祓除すればいいだけだ。勝ちは目前である。
「……!!」
しかし、真依さんの体が完全に消えた時、異変は起きた。
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作者名:しりお | 作成日時:2021年11月27日 20時