花火が刺す【五条悟】 (ページ7)

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朽ち果てた氷人ページ7

月日は流れ、全員、二年生になった。しかし彼女だけが唯一取り残されている。留年をしたとか、そういうことではなく。

「なんでよりによってコイツなんだよ。傑でいいだろ！いや、俺一人で充分だ！」

彼女は未だにクラスに馴染めていなかった。同性の家入、心優しい夏油と話すことはあっても、遊んだことはない。五条にはこの嫌われようだ。

それを見兼ねた夜蛾が、五条との初共同任務を彼女に任せたのだが……、もちろん五条は文句を言い続けて出発しない。

おそらく当日まで同行する人物を伏せていたのも、五条が怒るポイントの内の一つなのだろう。

夜蛾がちらりと彼女を見やる。

彼女はひと言、「分かりました」と言って、それきり黙っている。五条に「こんな鈍臭い奴、俺の足引っ張るだけ」「はっきり言って邪魔」と散々な悪口を言われても澄まし顔のままである。

夜蛾はむしろ感心といった様子で彼女を見ていた。

途中から自分の発言を一切聞き入れてもらえていないことに気が付いた五条は、「はああああーーー」と大きな溜め息を吐いて、二人から離れた。ようやっと任務に行く気になったのだろう。

彼女は夜蛾に一礼してから五条の後ろを着いて行く。五条の一歩が大き過ぎるため、小走りしながら。

「任務の概要は……」

「知ってる。知らされてなかったのはお前が来るってことだけだよ」

「私の術式は……」

「それも知ってる！入学早々、術式開示し合ったただろーが。てか着いてくんな、鬱陶しい！」

「それは無理。向かう先は同じ」

「…………っ、はあああああああ……」

「溜め息を吐いたら幸せが逃げる」

お前との任務に決まったことが運の尽きだっつーの。普段話さねぇくせに、こういう時だけベラベラ喋って……おまけにノーリアクションとかクッソつまんねぇ。

五条は眉間にシワを寄せ、ポケットに手を突っ込んでヤンキーのような態度で歩いた。