従順ドール ページ3
彼女は五条に無理矢理 腕を引っ張られ、よろけながら教室の外へ出た。
場所が分からないって外出ればいいだけだろ。
五条は、どこか抜けている彼女にいらつきながら、窓の方へずんずん進んだ。彼女は幾度も転びそうになりながら、なんとか五条に着いていく。
窓からはだだっ広いグラウンドが見えて、そこには担任と二人の生徒が立っていた。
窓から降りれば遅刻することも、このメイド服を連れ歩いて恥をかくこともない、そう思った五条は、彼女を乱暴に肩に担いで窓枠に足を掛けた。
ここで気付くはずだ。この男は窓から飛び降りてグラウンドに向かうのだと。そして常人は抵抗するだろう。
しかし彼女は何もしない。今置かれている状況に全く慌てず、さも当然かといった様子でされるがまま。
抗する者が居なければ、五条は窓から飛び降りるという愚行に出る。仮に居たとしても、力ずくで従わせるだろうが。
「口閉じろ」
五条は、彼女が着地の衝撃で舌を噛まないように警告した。
彼女は言われた通りに口を固く噤んだ。
刹那、臓物が浮くような感覚が二人を襲う。ジェットコースターで必ず体験する、あの感覚だ。
五条は昔から大胆な行動をする。故に落下時の体感には慣れていた。彼女も初めは驚いたものの、さして気にしていないようだった。
呪力で強化した足で華麗に着地を決めて、五条はグラウンドに立った。
彼女を降ろそうかしばし悩んだが、担いだまま他の生徒のところへ会いに行くことにする。
そこまで重くねぇし、抵抗もしないならこのままでいいか。それにコイツ鈍足そうだし。
完全に彼女を舐め腐っている五条は、そんな失礼なことを考えながら歩き始めた。
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作者名:しりお | 作成日時:2021年11月15日 11時