一緒に生活[HIKAKIN]

助力side:光 ページ48

会社での商品企画打ち合わせが終わり、俺は近くの席に座っていた比較的交流がある社員に声をかけた。

「あのさ、うちの会社案内パンフレットとか就職希望社向けのパンフレットとかってもらえる？」

「ありますよ、何部必要ですか？すぐ持ってこれますよ」

書類をまとめながら、女性社員が笑顔で答えてくれる。
おそらく動画か、外部の打ち合わせで必要だと思ったのだろう、少し考えて俺は当たり障りない言葉を口にした。

「あー、いや一部貰えればいいんだけど…知り合いがUUUMに興味あるみたいでさ、せっかくだし読んでもらおうこと思って」

「わかりました、待っててくださいね」

そういって彼女は会議室を出て、しばらくしたあとパンフレットを持って戻ってきた。

「どうぞ、こっちが会社案内のパンフレットでこっちが就職希望社用のパンフレットです」

「助かる、ありがとう」

「いえいえ、その方はYouTuberをやられてるんですか？」

「いや、YouTuberじゃないんだけどいま転職活動してるみたいでさ、この間相談に乗ったときにそういう話になってさ」

そう言われて慌てて否定する、たしかに自分の知り合いならYouTuberをやっている人だと思われても仕方ない。

「そうなんですね、今は中途採用もやっているのでヒカキンさんの周りで能力のある方がいらっしゃればぜひ！」

「あはは…」

別に嘘をついているわけではないが、少し申し訳ない気持ちになってしまった。

「仕事忙しいのにごめんな、早速渡すわ」

「はい！では私はこれで」

そうして彼女は会議室から出ていき、俺ももらったパンフレットをリュックに入れた。
俺は兄貴や他の人に比べて普通の社会人としての経験は少ない、俺ができるサポートなんて限られているだろう。
だけどやっぱり力になりたかった、こんなことだけれどAが喜んでくれればいいなと思いながら会社を後にした。

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