熱 ページ40
落ち込んでいた気持ちは浮上してまた頑張っていこうと思えた、その数日後。
「…ん」
いつもなら自然と差し込んだ光で徐々に目が覚めることが多いが、何だ今日はまぶたがいつも以上に重い。
目をなかなか開けられずに自分の体に意識を向けると、やはり調子がすぐれないようだ。
唾液を飲み込むたびにのどが痛みを訴え、体全体に寒気が走る。
「とりあえず起きなきゃ…」
いつもより重い体を起こし、立ち上がる。
確かに昨日からのどに違和感を覚えていたように思う、些細な変化で気に留めることもしなかった。
幸い今日は金曜日、そして今日の予定は特段入っていなかったため十分な休養をとることはできるだろう。
けれど、いまこの家には病人向けの食事や風邪薬もない。光に聞けばあるのかもしれないが、あまり接触して風邪をうつしたくない。
光は変わりのいない唯一のYouTuberなのだ。
少しフラフラするが、マスクをし外へ出る。家から一番近いドラッグストアに入り、風邪薬やゼリー飲料などをカゴに入れる。
スポーツドリンクやゼリー飲料はドラッグストアで購入したほうがコンビニより少し安いし、買い物が一箇所で済むのは本当にありがたかった。
働いていた時は、よっぽどインフルエンザや人に感染してしまうような病気でなければ少しぐらい熱があっても出勤していた。
というか、それが当たり前のような状況だった。体調がすぐれなくても仕事に向かうためによく飲んでいた栄養ドリンクをみつけそれもカゴにいれる。
季節外れの風邪だが、薬を飲んでおとなしく寝ていれば治るだろう。買い物を済ませると真っ直ぐに家へと向かった。
家に帰り着き、とりあえずゼリー飲料と部屋に持ち込む以外のスポーツドリンクを冷蔵庫にいれ、キッチンで栄養ドリンクをそのまま飲み干す。
「やっぱり美味しくない…」
いつものことだが、この栄養ドリンクは他のものより比較的効く分あまり美味しくはない。
体調が悪いのに買い物に出たせいか、さっきよりしんどい気がする早く部屋で休まないと。
「A?」
「あ、光起きてたんだ」
「おはよう、買い物いってきたんだ」
「あー…ちょっとね、あんま体調良くなくて」
「は?マジで?熱あんの」
「んーまだ計ってない」
「今すぐ計ってみ?えーと体温計は」
「いやただの風邪だからあんまり心配するようなことじゃ…」
そういったものの光は慌てて自室へと戻りしばらくした後、体温計を持ってやってきた。
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シリカ(プロフ) - きゃんさん» ありがとうございます…!遅筆ですがしっかり完結させたいと思っております…!今後もがんばります! (2019年8月25日 20時) (レス) id: 715e177fed (このIDを非表示/違反報告)
きゃん(プロフ) - 更新待っていました!お忙しいとは思いますが、頑張ってください!楽しみにしています。 (2019年8月25日 5時) (レス) id: 68aae87022 (このIDを非表示/違反報告)
シリカ(プロフ) - もなさん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!これからもがんばります…! (2019年7月9日 20時) (レス) id: 715e177fed (このIDを非表示/違反報告)
もな - シリカさんの文章 とても読みやすくて面白くて大好きです……!ゆっくりと更新を楽しみにしております (2019年7月9日 2時) (レス) id: 23768f9cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シリカ | 作成日時:2019年6月21日 15時