一緒に生活[HIKAKIN]

忙しさと申し訳無さと ページ7

家に帰ってベッドに寝転がると昼間のことをもう一度脳内で反復した。

「あー、迷惑かけちゃうようなこと言っちゃったかな」

お願いします、といったはいいものお互いいい年だ、大学生の半同棲みたいなものとはわけが違う。
承諾してくれたって言うことはおそらく付き合っている人はいないのだろう、多分。
だけど相手は有名人で自宅に会社の人や他のYouTuberが出入りすることだってあるだろう、私を本当の妹のように思ってくれて心配してくれたからああ言ってくれたのだろうけれど…。
私だってある程度貯金もあるし、こんな年で幼馴染とシェアハウスするんです！っていうのも変な話だ。
というか、久しぶりに会った人にあんなこというなんて相当どうかしてた、今からだってラインのメッセージ一つで断ることはできるだろう。

「忙しそうだしな」

メッセージを送らないもっともらしい理由を考えて、今日は明日の仕事のことに集中することにした。

次の日からは光のことや光の家に引っ越しした後のことなど考える暇もないほど忙しい日々が続いた。
無茶なスケジュールでの引き継ぎはもちろん女性だからと細々とした雑務を任せられる。チクチク背中を刺すような上司の嫌味はもはやBGMだ。
家に帰ったら引越し準備を少しずつ進めていった、家電付きのマンションだったため荷物は普通より少なくて済みそうだ。
有給も消化するつもりだがまとめて全て消化することは仕事量を考えると無理だ、ここぞというタイミングで取得しないと。

そこからは時間が経つのが本当に早く感じた、光とも最低限ではあるが日程調整のラインを何度か交わした。
最終出勤日の次の日に有給をとり、引っ越し作業を終えた後そのまま光の家に直行する形になった。
最終日は花束を手渡され、そのまま気のしれた同僚達と軽くお別れ会と称した飲み会を開催してくれた。
やはり、大学卒業後入社しずっと勤めてきた会社だ、心残りがまったくないというわけではない、お互い切磋琢磨してきた同僚達にお前ならどこでもやっていけると言われたときは思わず涙がこぼれてしまった。

次の日、朝から慌ただしく引っ越し作業を終え、いよいよ光の家にお邪魔することになった。
荷物の搬入は翌日に指定している、引越し時期が繁忙期でなかったのはある意味ラッキーだったのだろう予算も時間帯も希望通りだ。
海外旅行用の大きなキャリーケースを持って地図を頼りに訪れたのは都会中の都会とも言える場所だった。

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