一緒に生活[HIKAKIN]

難航４ ページ38

まるおはこちらをまんまるの瞳で見つめている、そのかわいさに少しだけ心が癒やされた。
しばらくスマホをいじったりソファでうたた寝したりしてみたものの、心が晴れる様子もない。
時間はすっかり夜になった、テレビを見るきにもなれないのでリビングのカーテンを開けてみる。

「何度見てもすごい…」

動画で紹介していたのを以前見たが、確かに東京タワーとスカイツリーが見えるすごい夜景だ。
いわゆる成功者の景色とでもいうやつなのだろう、
確かにこの家の家主である光は世間から見たら成功者だと思う。
でも今この景色を見ているのは景色の明かりにすらなれないちっぽけな人間だった。
重い足取りで冷やしていたワインとつまみを取り出し、ダイニングテーブルで一人晩酌をする。
あまり一人でお酒を飲むことはない、仕事で飲むことが多かったため家で飲む必要がなかったからだ。
白ワインの甘さと後からくるアルコールの熱さがどれくらい心を温めてくれるだろうか？
光だって幼馴染だからといって、長期間居候されるのは迷惑だろう。
いや、なんでそんなに弱気になっているのだろう、仕事をやめてからそこまで経っていないしまだまだ受けた企業も少ない。
年をとると心が弱くなるのだろうか、それとも安定を求めるばかりに不安定になるのだろうか？
考えがまとまることなく時間はすぎるばかりだった。

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