九 ページ10
．
「はっ……はあ、はぁ……」
開始から一刻後。
もはや歩いてるのでは？ という速さで、なんとか走っていたものの、ついに限界がきた。
足が
も、もう無理っ……起き上がれない……。
「どうした？ まだやれんだろォ、立て。そして走れ」
「いっ……や、もう、むり……」
「聞こえねえなァ」
背後から ただならぬ殺気を感じ、バッと振り返る。
――木刀を持った師範が、そこにいた。
ぶんっ、と、私を目掛けて それを振り下ろす。
「ぎゃああっ！！ なっ、何するんですか危ない！」
咄嗟に立ち上がって紙一重で避ける。
距離を取ろうと逃げたら、鬼の形相で師範が追ってきた。
「ひいいーっ！！」
悲鳴をあげながら必死に走る私の後ろで、「走れるじゃねえか」と師範が言う。
いやっ、いや違うでしょ！
火事場のバカ力 ってやつだもん！！
．
．
．
「――うえぇ」
危うく吐きそうになって、なんとか堪える。
あの恐ろしい男から 絶叫しながら滅茶苦茶に逃げ回ったせいで、本当に くたばりそうだ……。
今は、お昼ご飯を食べるため、一時休憩。
吐き気もするのに空腹だなんて……、なんて最悪な組み合わせだろうか。
「午後からは筋力を鍛える。腕が動かなくなるまで腕立て。終わったら腹筋･背筋、それぞれ倒れるまでやれェ」
「……はい」
「俺ァ、この後 用事がある。夜は仕事だから、明日の朝まで屋敷を空けるが、
――サボったらどうなるか、わかってんだろうなァ」
「わわ、わかってますとも！ やります！」
机に隠れるように身を縮めて応える。
午前中は、ひたすら師範と
午後は腕立て伏せ。腕が限界を迎えたら腹筋、お腹が限界を迎えたら背筋を鍛える。
倒れるまで無制限に鍛練するという……そんな地獄のような日々が始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒渦クレナ(プロフ) - 春駒さん» あああありがとうございます！(動揺) 嬉しすぎて、文字打つ手が震えます…！ 更新頑張りますっ！ (2020年3月20日 15時) (
レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - か、神作の予感…！！続き楽しみにしてます！！ (2020年3月20日 15時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒渦クレナ | 作成日時：2020年3月19日 21時
