検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:4,210 hit

ページ7







 翌日。

 私は朝っぱらから師範の家まで全力疾走で彼を迎えに行き、二人で私の家に戻る道中、鬼殺隊のことを色々 教えてもらった。


 師範は鬼殺隊で最も位の高い剣士の一人、風柱だそうで、柱の弟子は継子と呼ばれるのだとか。
 ……ということは、私は風柱の継子ってことか。




 それから、私は昨日 言った芝居の具体的な内容を話した。

 全部 言い終える前に、師範に殺されそうになったり反対されそうになったりしたけど、私は――出会ったときに食べていた――おはぎを奢るだの、地面に額を擦り付けて頼むだのして、なんとか……本当になんとか、了承してもらえた。


 我が家に着いたとき、おじいちゃんとおばあちゃんは家を売り払うための片付けをしていた。

 ちょうど それが一段落つくところだったので、私は声をかける。



「あらっ、どこ行ってたのA! その人は?」

 と、おばあちゃん。


 ちなみに、道中にあった定食屋で 私たちは朝ご飯を食べた。

 その時、師範の顔にある傷を 持参した化粧道具で隠した。
 ……もちろん ここでも殺されそうになった。

 でも『第一印象が大事なんです! 孫が傷だらけの男 連れてきたら、おじいちゃんたちの心臓に悪いから!』と言って土下座して、さらにご飯も奢ったりして、説得(?)した。


 化粧を施す際の師範の目といったら、視線だけで人を殺せそうなほど恐ろしくて、私は終始 冷や汗が止まらなかった。

 でも、なんとか今まで生き延びた。





 『作戦開始です』と、目で師範に訴え、私は口を開く。



「実は私、おじいちゃんたちには言ってなかったけど、ずっとお付き合いしてる人がいて……」

 この人よ、と、師範を紹介する。


 ……いや本当にごめんなさい、すみません師範。
 後でボコボコにされそうな気がして、心の中でひたすら謝罪。


「昨日、私が鬼殺隊に入りたい って言ったのは、おじいちゃん家じゃなくて、この人に家で……一緒に暮らしたかったからなの。

あっ、もちろん、この人とのお付き合いは 父さんたちも認めてくれたわ」



 昨日の夜中に考えた台詞を、必死で思い浮かべつつ、演技する。

 ついさっきまで恐ろしいくらい師範から溢れていた殺気も、彼が演技してくださってるおかげで、今はほとんど感じない。



「そうだったの。……そうね、好きな人と暮らすのが一番だわ」

 親の反対を押しきり結婚した祖父母なら、そう言うと予想はついていた。

七→←五



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒渦クレナ(プロフ) - 春駒さん» あああありがとうございます!(動揺) 嬉しすぎて、文字打つ手が震えます…! 更新頑張りますっ! (2020年3月20日 15時) (レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - か、神作の予感…!!続き楽しみにしてます!! (2020年3月20日 15時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒渦クレナ | 作成日時:2020年3月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。